2-2 俺、ちいせぇ!!
「よし、俺の能力をまとめるぞ!」
そんなわけで、俺はその日の夜、みんなを集めて会議を開始した。
内容は、俺のギフトの有効活用方法だ。
「まとめるって坊や、なんだい突然」
「いやさ、俺ができることを整理したいんだよ。
俺自身未知な部分が多すぎてさ」
「なるほど、いい考えだ」
ここに居るのは同居している兄弟のカイトとリト、アリサさん、
そして妙に俺に抱き着こうとしてくるジュリアさん。
そーいや、ジュリアさんの車のバックミラーで気づいたんだが・・・。
俺、ちいせぇ!!
そら坊やとかボクとか少年とか言われるわけだよ!!
12歳とか13歳くらいじゃね?
同居している兄弟より多少年上程度なんだけど!
まぁ、そりゃさ、じーさんスタートよりずっとマシだけどさ。
だけどもうちょっと、こう、さぁ・・・。
いやいいんだけどさ。
つかジジイで転生とかだったらあの自称神様っぽいやつを全力でぶんなぐってたけど。
・・・話を戻そう。
「まず俺のギフトはクラフト。
これは間違いないよな」
「そうだね。
通常だと何々クラフトという感じで、だいたいどれかに特化するもんだが、
坊やの場合は全般クラフトとでも言えばいいのかね」
通常だと、衣類クラフトとか、椅子クラフトとか、
かなり絞られてしまうらしい。
だからこそはじめは皆が俺のギフトを壁クラフトだと思ったんだけどな。
ところが俺は壁だけじゃなく門、見た目だけだけど銃にしっかりとしたボウガン、
スプーンまで作ることが出来た。
多分構造さえ分かれば、機械類とかもいけるようになるかもしれない。
現時点ではアリサさんがライフル銃をバラして何度も見せてくれたりしていて、
銃そのものはさておき、バラされた部品部品をコピーするようにクラフトすることには成功し、
4丁ほど全く同じライフル銃が完成し、集落の自警団もどきに譲渡している。
弾薬は流石に作れないので街へ買い出しにいっているけどな。
というかアレってどう作ればいいのかさっぱりなんで俺には作れない。多分。
アリサさんも弾薬は流石にお手上げらしい。バラせないし。
ちなみに、部品をクラフトは出来るが、
ライフル銃をまるまるクラフトは今の所成功出来ていない。
俺が内部構造を把握できていない為だ。
見た目だけはできるぞ。
ほぼモデルガンみたいなものになるけどな。
「それでも少年はライフル銃作っちゃったんでしょぉ?
さすがじゃなぁい」
抱き着こうとしてくるジュリアさんをひょいっと避ける。
抱き着かれてもいいんだけど、なんか顔が怖い。
避けられて唸ってるジュリアさんを放置して話を続けよう。
・・・怖いからアリサさんの影に移動しよ。
「さて続きだな。
俺は、自分が想像できる範囲のものを作れる。
完成するかどうかは別として」
アリサさんのクロスボウを何度も作り上げた時も、
ボルトが飛ばなかったり飛び過ぎたりと試行錯誤をしまくった。
結局はおれの創造次第というか想像次第というか。
「で、その際に当然だけど素材が必要だ」
「まぁ、当然だね」
ただ、この素材ってところが曖昧だ。
たとえば、鉄が何グラム必要とか、木材が何センチ必要とか、
そういった単位とかが脳内に出るわけでもなんでもない。
近場にあればいい、ってだけ。
逆に不足してたら作れない。
どれくらい必要なのかというめやすがないんだよな。
でまぁ、それを話すとアリサさんが首を横に振る。
「必要量に関してはそこまで深刻にならなくてもいいさ」
「どうして?」
「余剰ができるくらいかき集めたほうが、
後々何かに使えるからね?
多すぎるくらい用意しておけばいいのさ」
「そういうもんかね?」
「そういうものさ。
何もピッタリである必要は一切ない。
だいたいでいいんだ、そういうのは」
考えてみれば必要な数を勝手に使うのだから、
こっちでいちいち分量を量る必要は確かにない。
まぁめやすくらいは欲しいけどさ。
「で、1回俺がクラフトしたものは、そのままでは再クラフトは出来ない」
「破壊したりバラバラにすれば問題なかったけどね」
ここで問題になるのは、先ほど部品部品をクラフトしたライフルだ。
全部品をクラフトしたあとに、それを組み立てるような感覚でクラフトしようとしても一切反応をしない。
もちろん別のものを作ろうとしてもダメ。
なんでか俺のクラフトしたものをそのままは使えない。
なもので、例えば鉄くずをまとめやすいようにインゴットみたいにしたあと、
それを利用してクラフトしようにも一切反応しなかったりする。
・・・反応しなくなった元鉄クズのインゴットが大量にあるんだよ。
インゴットにすれば持ち運びしやすいんじゃね?って提案して、
集められた鉄クズを全部鉄インゴットにしたんだけどさ。
俺がクラフトしたやつだからそこからなにも作れなくなっちまって・・・。
長さんに全力で土下座して謝罪したけど、
むしろこのほうが高値で売れるからと喜ばれて内心ホッとしながらガッツポーズしたのは秘密だ。
実際鉄クズとして売るよりインゴットとしてのほうが持ち運びもしやすく、
高値で売れるのも確からしいので、結果おーらいってところではあった。
まぁ、新しい鉄クズをそろえるまでは俺がクラフトできなくなっちまったんだけど。
「まぁ、今後何を作るかで決めればいいだろう。
基本的にはインゴット化して、街で売りさばくほうが金にはなるし、
そのうちこの集落の特産品として数えられるかもしれないしね」
幸い鉄クズ山というモンスターはびこる鉄クズだらけの山が近場に有るので、
造り放題といえば作り放題なんだよな。
モンスターはアリサさんたちが倒してくれるし。
なお、サニーカイザーを撃退するために来てくれたハンターたちは、
アリサさんとジュリアさんだけが残り、残り二人は帰って行った。
二人がどうして残ったのかはよく分からない。
「さて坊や、話は以上かい?」
「あー、うん、あとは俺に何が出来るのかを話しあいたかったんだけど、
まぁそれはおいおいでいいや」
「それなら丁度いいね」
「?」
「これからジュリアと私は近くの農村に物々交換同行護衛を依頼されたんでね。
一緒にいくかい?」
「農村?
俺が行ってもいいのか?」
「むしろ何か新しいクラフト出来るものが見つかるかもしれないだろう?
こういうのは何事も経験さ」
俺のクラフトは俺の知ってる、あるいは想像できる範囲内でしか作れない。
全く知らないものを生み出すことはできない。
ただ、想像から作れても、基本的には見た目だけのはりぼてしかできない。
なので内部構造を知る必要がある。
・・・まぁ、そんな複雑なものは作れる気しないけど。
そんなことよりもだ。
確かに新しい場所ならなにかいい発見があるかもしれない!
新しくクラフトできるものが見つかればいいんだけどな。
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