彼女は○○を召喚した。
ひるねま
容姿がすべてなのか?
何も変わらぬ日常。
そんな日常は、俺を地の底へ突き落す。
「ライラック様の横に立っている野郎は何なんだ???」
「ルイス様よ」
「なんであんな平凡野郎が勇者様の隣を歩いているんだ?と聞いているんだ。」
と、中年の夫婦がこちらを見ながら馬鹿にしたような面持ちであざ笑っている。
「あんな奴ら放っておけよ」
とライラックは俺に向かっていうのだが、ライラックのほうこそ、正直放っておいていてほしい。
なんでも手にして生まれたお坊ちゃんは何もわかっていやしない。
また少し歩くと、老夫婦がこちらに向かって挨拶をした。
「あら、ライラック様、今日も美しいお顔をしておられて…」
俺のことを見るや否やため息をつき、
「来世は美男子になれるように祈っていますよ」
と言い残して去っていった。
ライラックは、漆黒の髪と瞳を持ち、神秘的な容姿を持っていた。
それと比べて、この世界の大半を占める髪色の金髪に青い瞳はよくある容姿だった。
そのうえ、金髪は金髪でもルイスの髪と瞳はくすんだ色をしていた。
くすんだ色の金髪青目ほど嫌われる容姿はこの世に一つも存在しない。
この世界の人間からすれば、底辺な容姿を持った男が英雄の相棒であり、親友であることが許せないのだろう。
仕事では大きな成果を上げれば上げるほど、ライラックとは全く異なり、俺への風当たりは増していったのだった。
そしてある日、国王に呼び出され、こう告げられた。
「よく来てくれた、ルイス君」
微笑みながらこう続く
「この国には英雄がライラック君と君の二人いる。しかし、この国もそう裕福な国ではない。」神妙な面持ちでこちらを見つめる。
そんなに超えた体をして、何が裕福ではない、なのか。
国王にそんなことをいうことが許されるはずもなくただただ聞いていた。
改めて俺の顔をみて、
「君にはこの国から出て行ってもらいたい。正直目障りなんだよね君」
突然言い渡された国外追放に唖然としてしまった。
「もし出ていかないなら、ここで死んでもらう」
突然な国王の暴君ぶりにルイスは言葉を失ってしまった。
「あ…え、いや…」
ちょっと待ってください、という言葉が出る前に
国王の座る巨大な椅子の脇から槍を持った兵士が現れ、俺に襲い掛かった。
国王は、ルイスに是非を言わさずに
「殺せ!!」
と帝国騎士たちに命じたのだった。
その言葉に、俺の頭の中は真っ白になった。
もう、おしまいだ、そう感じたその時
辺り一面眩しい光の魔法陣が現れ、俺を包み込んだ。
あまりの眩しさに、目を閉じて数秒あるいは数十秒、時間の経過を感じてから、恐る恐る目を開いた。
不思議な井出立ちの神秘的な髪色の女性が、めをまんまるにしてこちらをじっと、凝視していた。
顔に穴が開くほどに鋭い視線に俺は、ただただ圧倒されてしまったのだった。
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