第17ウマっ!

「それじゃダメだ!お前は残って自主練しておけ!」


「はい!」


(部活後)


「はー、バレーボールのトス上げって難しいなあー。なぜ私はうまくトスを上げることが出来ないんだろう」


(ぽーん、べち)


「音がするのはまだ手だけで上げてるっすなあ。『トス上げ』は音をたてないが基本っすねんよ」


 ツインテールの頭にサングラスを乗っけたかわいい女の子が。ロリポップキャンディーをカコカコ鳴らす女の子がバスケットボールをドリブルしながら、体育館に『ばーんばーん』と音を響きかせながら近づいてきた。他に誰もいない体育館。音はとても響いている。そしてバレーボールより明らかに重そうなバスケットボールを真上に。『トス上げ』を始める。


(ぽーん、ぽーん)


「トス上げウマっ!」


☆今日のウマっ!『バレーボールのトス上げ』☆


 まず、トスは顔の前でやりがちっすけど、『額の前』を意識っすなあ。サッカーで言うところの『ヘディング』のイメージっすねんなあねん。ボールは手の『面』ではなく、指で『三角』を作り、包み込むイメージっすなあねんよ。『額』をイメージすると自然に体全体を使えて、ひざや腕の力も使えるっすねんね。ほい。上げるっすなあ。


 ぽーん。微かな音をたて、どこまでも高く上がっていく重いバスケットボール。


~祭りのあと~


「うわーい。私、『トス上げ』上手に出来るよ!!」


「ウマっ!っすなあねん。基本を身に着けるといろんな体勢から柔らかいトスが上げられるっすなあねんよ。それよりお腹すかないっすか?」


(お腹ぐー)


☆今日のウマっ!その二『南蛮漬け』☆


「この南蛮漬けウマっ!」


「これはサバの南蛮漬けっすなあ。南蛮漬けのじは『薄口しょうゆとお酢2に対し、みりんと砂糖1で作るっすねんよ。そこにスライスした玉ねぎと千切りにした人参、後は片栗粉で揚げた魚を浸けるっすなあ。南蛮漬けは保存食であり、お酢が疲れた体にしみるっすねん。頑張った自分にも染みるっすねんなあ」


「ウマっ!ウマっ!」


 頑張った女の子が「トス上げ」のコツを身に着け、おいしそうにさばの南蛮漬けを食べる。


「おぬし、素質があるっすぞい。世界を目指すのじゃなあっす」


「え?私が世界を…」


 ツインテールの頭にサングラスを乗っけたかわいい女の子。ロリポップキャンディーをカコカコ鳴らす女の子の「トス上げ」と「南蛮漬け」は「ウマっ!」

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