異世界の片隅で。
奈浪 うるか
ここは『ヤトゥーボ=ニース』だよ!
「やあ、こんにちわ。ここはどこの街だい?」
「やあ、ここはヤトゥーボ=ニースだよ!」
俺はエドだ。ここ、ヤトゥーボ=ニースの街の門を入って最初のかどっこの、親のやってる果物屋で今日も果物を売ってる。場所がいいから、そこそこに儲かってると思うぞ。
俺の小遣い少ないけどな。
だいたい街に着いた旅の人って喉が乾いてるから、うちで果物とか絞った汁とか買ってくんだ。酒もあるぞ。果物のな。でもな、買い物客より街の名前を聞いていくやつはもっと多い。
街に入るときに番兵と話してるのにな。
どーいうわけか街に入って最初に目についたやつ - だいたい俺だ - にここはどこの街だい? と聞いてくる。
「ああ、やっと着いたな。どれ、そのグルップをもらおうか」
「まいどあり!」
それからだいたいなんか買ってくれるので、俺としてもめっちゃ愛想を振りまいて、街の名前を答えるんだ。
一応商売人だかんな。
10歳から店を手伝ってもう6年になるから、きっと何十万回ぐらいは言ってると思うぞ。
計算はやいだろ?商売人だかんな。
「やあ、ここはヤトゥーボ=ニースの街であってるかな?」
「そうだよ! ここはヤトゥーボ=ニースだよ!」
こういうパターンもあるぞ。
なんか鎧とか着たやたらかっこいい兄ちゃんだな。後ろにはまたこれがキレイな姉ちゃん連れてる。3人も。刺繍ってのかな? 派手な布に派手なガラの服着たちょっと怖そうな姉ちゃんと、すっげえ高そうな長い服来た若いのに杖持った姉ちゃんと、
ちょっとちっこい白い服の ...
急に。
頭の中に何かが溢れ出した。
ゲーム。深夜のコンビニ。トラック。白い部屋。女神。
混乱がおさまるのに半日かかった。
勘定を間違えまくって親父にめちゃ怒られた。でも街の名前は間違えないのはさすが俺だ。
最初に思い出したのは『アイリナたん』。
超人気RPG『デモニック・クエスト』の、誰がなんと言おうがメインヒロイン。俺の女神だ。Tシャツだって持ってた。ちゃんと着てたし。別に恥ずかしくないぞ?だいたい部屋から出ないからな。
そう、俺は転生者だ。
前生は専門用語でいうところの萌え豚だ。名前とかどうでもいいだろ?ってか興味ないだろ?
夜中に腹がへったんで珍しくコンビニに行ったらトラックに跳ねられて気がついたら白い部屋。自称女神とかいうやつが転生させてやるとかいうので...
そうかー。
でかした自称女神。アイリナたんに会わせろとか口走った覚えがある。
ヤトゥーボ=ニースも思い出した。始まりの街でも決戦の街でもなく、物語の中盤に出てくる街。名前ややこしくてほとんどのやつはちゃんと覚えてないだろうな。重要イベントが起こるんで絶対みんな来るんだけどな。
そういえば入り口のとこにどこの街にもいる街の名前教えるだけのやついたな。赤毛で黄色いシャツに青いズボンとか何だこのカラーリングみたいな。
よりによってこいつかよ!
勇者とかチートとかどこいったんだよ!?
街の名前以上に誰も覚えてねえよこいつ、ってか俺。
☆☆☆
「やあ、ここはヤトゥーボ=ニースだよ!」
前生の記憶を取り戻したからと言って何が変わるわけでもなく、俺は今日も果物を売っているぞ。
ゲームのストーリーもちょっとずつ思い出してる。デモニック・クエストはマルチエンディングRPGで途中の選択でいろんな結末を迎えるやつだ。
といっても俺が選択するわけじゃないけどな。
主人公である勇者はあちこちの街を巡って戦ったり仲間を増やして少しずつ強くなっていく。序盤でよっぽど下手打ってバッドエンドとかならない限りは、中盤ぐらいでこの街にやってくる。
ということはこの世界でも話は中盤か。
「やあ、もうかってるかい?」
「あ、勇者さんまいどです」
「ホークでいいよ」
勇者ダイナホークはまったくもってイケメンだ。そして爽やかだ。あの日以来、この街にいるようでしょっちゅう買い物に来てくれる。
こっちに転生したかった気もするけど、それはそれで大変だろうなというか、自分には無理というか、ホークを見てるとこいつでいいんじゃねという気分になる。
「そこのアポーと、ラランジャの絞り汁をもらおうかな」
「はいはい、今日入った新鮮なやつですよ!」
「ところで、アプリカあるかな?」
「アプリカですか」
アプリカは北の方で取れる果実だけど、
「この季節はあんまりないですね」
「やっぱりそうかー」
ホークはちょっと困ったような顔をした。またこれが絵になるなちくしょう。
「この季節にんなもんあるわけ無いだろこのシスコン」
「シスコンはひどくないか? ナッグ」
ナッグは勇者パーティの格闘家だ。いつの間に近づいたのか、雑魚キャラの俺にはわからないぐらいの達人だ。口は悪いが面倒見がいい。ちなみに弟とか妹がたくさんいる。
そして重度のツンデレだ。
「うっせえ。妹の機嫌ばっかりとりやがって」
「本日入荷の新鮮なアポーで君の機嫌はなおるかな?」
アポーはナッグの好物だ。そういえば、各キャラには好物の果物が設定されてた。
「...」
「やあユーフェロア、今日もきれいだね」
ホークからジュースを受け取ったユーフェロアは両手を添えてしずしずと飲み始めた。
こちらは正真正銘、瞬間移動で近づいたと思われる。いい意味でのヤンデレ、ユーフェロア。
いい意味でのヤンデレというのは、公式HPのキャラ紹介にそう書いてある。
好物はラランジャ。朝一杯のラランジャジュースを日課にしている。かなり上位の貴族で、この世界有数の魔術師だ。
そしてこの二人は見ての通り、ホークを取り合う仲だ。どっちとくっつくかはマルチエンディング。
「おら、とっとと飲め。飲んだら行くぞ」
ワイルドにアポーを丸かじりしたナッグは二人を急かしている。雑に食べた割には残った芯をちゃんとゴミ箱に入れるあたりが地味に人気のあるところだ。
「おいおい、アイリナを連れてこないと」
「行くとこ決まってるんだからそのうちくるだろ」
ドキッとする。
第三の少女アイリナたん。
アイリナたんはホークの妹。デモニック・クエストはエロゲではないので勇者の恋愛対象外だ。
だから俺のだ。とそれぞれに思う萌え豚たちの女神だった。
二人のヒロインを差し置いてグッズ売上は常に一位。俺の支出に占める割合も一位。
「あ、あの、兄たち見ませんでしたか?」
突然の不意打ち食らった!リアルアイリナたん。CGより可愛いリアル女なんていないという俺の信念はあのとき一瞬で打ち砕かれた。かわいー! 超かわいい!
水晶のような薄紫の髪、透き通るような肌、走ってきたからか少し頬をピンクにしてるのもかわいい。癒し手らしく真っ白な服を着ているのも超絶かわいい。
「あ、アイリナた、さんまいど! ホークさんついさっき買い物して行かれましたよ」
「ひどいです。起こしてくれても...」
ほんの少し頬を膨らませているアイリナたんは低血圧で朝に弱い。そして恋愛対象外とはいうもののこれまた重度のシスコン・ブラコンなのであの二人はスキあらばおいていこうとする。
という微妙な立ち位置。
「行き先決まってるとか言ってましたよ」
「あ、はい。わかります。ごめんなさい、急ぐので行きますね。また買い物きます」
「まいどです!またよろしくー」
あー、幸せだ。トラックありがとう。
確かこの町では重要なアイテムを手に入れるために探索してたんだっけかな。アイテムってなんだっけ?
なんか重要なことを忘れてる気がする。
☆☆☆
「エド。仕入れ行ってこい」
「えー、こんな時間に?」
普通、果物というものは早朝に仕入れる。今は昼過ぎ。飯食って休憩中。動きたくない。
「ロラン通りに北の行商が来てる。珍しいもんあったら仕入れてこい」
ロラン通りは城壁の外にある。昔はもっと外に城壁があって、その頃はにぎやかな商店街だったらしい。街で商売するにはギルドに入らないといけないので、行商人は街の外で商売をする。北の行商は街を渡り歩いて商売してるのでいろんな時間にやってくる。
俺の腹の具合とか考えてくれない。
荷車を転がして城門を出る。城門の警備もさすがに顔パスだ。毎日顔合わしてるからな。
荷車は木の箱にでかめの車輪が2つついたやつ。人力だ。
城壁沿いにガラガラと歩いていくと、小川があって橋があり、もう一回橋を渡るとそこがロラン通りだ。
なるほど大きな隊商が来ていて、荷馬車が並んでる。もともと商店だったと思われる空き家を利用して即席の売店が開かれている。北の国は寒いので木になる実が多い。この辺では取れないものも持ってくるのでうまくすれば儲かるぞ。
「こんちわ。今日は何がはいってます?」
「ああ、入り口んとこの果物屋か。いろいろあるぞ」
顔見知りに声をかけた。たしか農園で働いてるとか。
「あ、アプリカ」
こんな時期に珍しい。
「おう、それか。珍しいだろ? うちに変な木が一本あってな。変な時期に実をつけるんだ」
思い出した。アプリカはアイリナの好物だ。それでホークがほしがってたのか。しょうがない。仕入れてやるか。
思わぬ収穫にスキップ気分で帰り道を急いだ。荷車押してるからスキップ無理だけどな。
橋を一つ渡ったところ、つまりは城壁から一番離れたところで、それは突然やってきた。
最初、影が落ちた。
反射的に見上げると、黒い翼。続いて、烈風。思わず顔を覆い、目を閉じる。次に目を開いたときには、取り返しのつかない距離にそれはいた。
レッサーデーモン。
魔族の下等種で、極めて凶暴。そして感じたのが激痛。速やかに遠のく意識。
あれ? 死ぬのかな? 街の名前言うやつがいなくなっちゃうけどいいのか?
「ここはヤトゥーボ=ニース...だよ」
これが最後の言葉はやだな。
「アイ...リナたん」
こっちがいいな。
うん、ずっといい。
「はい、あの、大丈夫ですか?」
ああ、空耳が聞こえる。また自称女神くるかな? きたらまた言ってやる。
「アイリナたんに会いたい」
「え、えと...」
目を開けると白い部屋じゃなく青い空。
そして白い少女。
「間に合ってよかったです」
アイリナたんは頬を真っ赤にしてそういった。両手を俺の胸にかざしている。
これは回復魔法?
センスの欠片もない黄色いシャツが斜めにバッサリ切り裂かれていて、真っ赤に染まっている。
あれ? もしかして、いま俺なんか言った?
恥ずかしいなんてもんじゃない。俺は飛び起きるとなぜか土下座して言った。
「あ、ありがとうございました!」
多分顔が、髪よりも、血よりも赤い。少し心臓の動悸がおさまってくるのを待って、おそるおそる顔をあげると、アイリナたんは、
微笑んでいた。
「癒し手でよかったと今日はほんとに思いました」
「ほんとうに、ほんとうにもう、なんとお礼を言っていいのか...」
「気にしないでください。できることをしただけですから」
あ、そうだ。
「なにもできませんけど、せめてこれ、召し上がってください」
なぜかあれだけの惨劇にもまったく無傷だった荷車からアプリカを取り出して手渡した。
「え、アプリカ? 大好物なんです!」
「あ、そうですか、それはよかった」
ホークごめん。手柄もらっちゃいました。
「ありがとうございます! えっと、遠慮なくもらっちゃいます」
「どうぞどうぞ。命の恩人にこのくらいしかできませんけど」
「そういえば、どうしてあんな怪我をしたんですか?」
思い出した。
魔物のことを思い出した。というのもそうだけど、もっと重要なこと。
運命の街ヤトゥーボ=ニース。この街はもうすぐ滅びる。
☆☆☆
勇者がこの街にやってきた目的。
この街の大聖堂に隠された魔具『時の鍵』を使って魔王の属性である『悠久』を無効化しない限り、魔王は何度でも蘇る。
魔王を倒した後、年老いた勇者の前に魔王が再び現れるというのもバッドエンドの一つだ。
魔王は時の鍵を破壊するためもうすぐここにやってくる。そしてこの街ごとすべてを跡形もなく破壊する。
時の鍵を見つけられなかった勇者はその直前に街を去る。魔王の悠久を無効化するため、さらに苦難の旅が待っている。
そのイベントの後、マップ上には緑の草原のまん中に黒ずんだシミだけが残る。
そこに入ると、
『かつてここには街があったようだ。今は生き物の気配さえしない』
とメッセージが流れる。
これ、破滅フラグじゃね?
そしてさらに思い出す。ヤトゥーボ=ニースの破滅には回避ルートがある。
さっきのレッサーデーモンは魔王軍団の偵察兵だ。ある時刻にある場所にいくと、街の住人からレッサーデーモンの目撃情報を得る。それによって勇者は街を立ち去るのをやめ、魔王軍団と戦うことになる。
そしてその場合、ヤトゥーボ=ニースは破滅を逃れ、時の鍵を手に入れることができるが、
アイリナは死ぬ。
いまだ中盤レベルにある勇者たちの現在のレベルでは魔王には歯が立たない。アイリナは禁忌の死靈魔法を使うことで大聖堂の司祭を蘇らせ、時の鍵を手に入れる。魔王は危険と見て立ち去るが、アイリナの魂は呪われて燃え尽きる。
レッサーデーモンの目撃者。
俺だよ。
☆☆☆
今日も一日いい天気で、夕焼けが大聖堂に赤い影を落とす。
信じられないぐらい平和だ。
俺は大聖堂の尖塔に登った。朝夕は開放されている。ヤトゥーボ=ニースとアイリナを天秤にかける大役を街の名前を答えるNPCにまかせるなよ。
そんなことを考えながら長い階段をぐるぐると上がる。途中で二人ほどすれ違う。
ゲームでは目撃者が誰かは出てこなかった。街の誰かが見つけてそれを伝え聞いた誰かが勇者に伝えるかどうか。そこで物語は分岐する。
俺が誰かに言えば、アイリナが死ぬことになるかもしれない。
俺が誰にも言わなくても、別の誰かがレッサーデーモンを見かけて、やっぱりアイリナは死ぬのかもしれない。
結局雑魚キャラのすることなんて、大して問題ではないのかもしれない。
それでも。
階段が尽きると風が流れた。
大空に開けた視界に、見慣れたヤトゥーボ=ニースの町並み。
そして、
「あ、エドさん」
「アイリナ...さん?」
「アイリナたんでいいですよ」
っ! なんてこと言うんだ。
「なーんて」
と小さな舌を出した。尊すぎる。
「あ、アプリカ美味しかったです!」
「それはよかったです」
「アプリカは小さいときに兄がよく取ってくれて」
そういえばそういうストーリーあったな。
「近所の農園に季節外れに実をつける木があって、いけないんですけどね」
ホーク、泥棒じゃないか。
「運良く手に入ったんです。アイリナさんの行いがいいからですよきっと」
「あはは。わたし、いい子じゃないですよー」
見たことのないいたずらっぽい顔をして笑う。
「二人ともすごく魅力的だしいい人なんです。兄もいい年ですし恋人ぐらいいてもいいに決まってます」
何を言い出すんだ。
「でもなんか、ちょっと、その」
新鮮だ。
ゲーム中では一点の陰りもない清らかな少女で、兄を慕ってはいるもののあくまで爽やかな感じだった。
でも。
「宿で二部屋になったときに妹特権で兄と同じ部屋にしたり」
それは微妙だな。てか他の選択肢それはそれでやばくね?
「戦闘中にどさくさに紛れて兄にボディタッチとかされると解毒魔法使うのちょっと遅れさせたくなったり」
それはだめだろ。
「...ごめんなさい!わたし、愚痴ってます!」
急にハッとした顔をしてうつむいた。たぶん、真っ赤なんじゃないかな。
「いえ、いろいろ大変なんですね」
あー、気の利いた言葉な。無理な。
「ありがとうございます。ちょっと楽になっちゃいました」
「俺なんかでよかったらいくらでも聞きますよ」
「じゃあ、またこの街にきたらよろしくです。あっ」
アイリナは少し困った顔をした。
「わたしたち、明日出発します。今日お会いできてよかったです」
「あ、そうなんですか。寂しくなりますね」
そう。知ってた。
そしてアイリナは知らない。これは永遠の別れ。
言えるわけがない。雑魚キャラが何をやろうが大勢にどれだけ影響がなかろうが、この娘を選ばないことなんて。
親父、おふくろ、街のみんな。
すまん。
俺と一緒に死んでくれ。
☆☆☆
次の日も晴れた。勇者たちは街を出た。最後に買い物に来てくれた。
アポーと、ラランジャジュースと、密かに隠しておいたアプリカを買っていってくれた。盛大におまけしておいた。
どうせもうすぐ全部なくなる。
アイリナは門をくぐる直前に、もう一度振り返って手を振ってくれた。
それで十分だ。
その日は何事もなく過ぎた。
☆☆☆
俺の一生。
この街の名前を告げることと、
ここ数日のこと以外、
取り立てて何もなかったな。
その日、真っ黒な影が空を覆った。
門をくぐることもなく、それらは大空から大地に降り立った。何千、何万か。数えるのも煩わしい。
不気味に静まり返るそれら。街の人達は息をするのも忘れたかのように音一つたてない。一体でもこの街の警備兵が全員でかかっても勝てるかどうかわからない下級デーモンがずらりと並び、その中からひときわ巨大な個体が前に出た。
魔王軍武装親衛隊隊長、ドワルニック。
凶悪・狡知・冷酷。多くの選択肢でゲーム終盤まで苦杯をなめさせてくれたやつ。
あー、ゲームだった頃が懐かしいな。でもアイリナたんと会えたし。愚痴ったりしてくれたし。
ドワルニックはなぜかこちらに近づいてくる。見上げるぐらい大きい。爪一個でこっちの腕ぐらいありそうだ。
そしてこっちを見てる。
なぜか怖くなかった。
そう、このシチュエーション。何十万回も繰り返したシチュエーション。
たぶん最後な晴れ舞台だ。
ドワルニックは低く響く声で言った。
「ここはヤトゥーボ=ニースか?」
一寸のNPCにも五分の魂。俺の生き様を見せてやる。
「違いますよ?」
凍りつく空気。ドワルニックの漆黒の顔が少し紅潮したような気がした。
「そうか」
巻き起こる突風。
気づくとあれほどいた黒い影は跡形もなく消えていた。
☆☆☆
今日も空は晴れ渡り、子供らのはしゃぐ声が聞こえる。
俺は街を一個救った。
「はーい、パイが焼けましたよ」
あの後、ホークは世界を救い、魔王は潰えた。
しばらくすると勇者が結婚したという噂が流れてきた。ほどなくアイリナがやってきて盛大に愚痴を垂れ流した。
そして平和になった世の中で俺はそれなりに果物を売り続け、それなりに店を広げた。
「ほら、ちゃんと手を洗いなさい」
ヤトゥーボ=ニースの街は草原のシミにならずに今もこうしてここにある。
「もう、エド、聞いてください」
ゲームはホークが魔王を倒し、王に報告したところで人々の大歓迎を受けて終わっている。
その後のことは萌え豚どもは何も知らない。
「え?なに?このパイ辛い?そんな...」
アイリナがとあるNPCのもとに来ることも、
そして案外ポンコツなことも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます