☆ 君は、不思議そうな顔をしていた。
僕は、夏に一人でお墓参りに来ていた。
宿に帰ろうと思っていたら、
触覚が生えた、
全身が白い人型の生き物と出逢った。
僕は、理由もなく単なる好奇心で
その生物に話しかけてしまった。
「君は?」
その生物は、首を傾げながら何かを呟く
僕は、それを聞いても理解できなかった。
明らかにこの世の言語じゃなかったからだ。
「どこだ!」と男達の怒声が聞こえる。
その声を聞いた生物は、触覚で僕を掴み
うるうるとした目を見せる。
僕は、その生物を抱え岩陰に隠れた。
怒声の男は山の方へと向かっていった。
僕は、それを見てひとまず安心した。
とりあえず家に帰ろう。
僕は一人暮らしだしかも持ち家なので、
変な生物を連れ込んでも
誰にも文句を言われないが、
はぁなんでこんなことしたんだと、
途端に後悔が僕を襲った。
まあいいか、どうせ終わった人生だし
と、僕は開き直った。
とは言っても、こいつ何を食べるんだ?
取り敢えず机の上にあった、
りんごを見て、
りんごって、なんか知識とか神とか
なんか関係しているだろうし、
まぁ、頭も良くなりそうだし、
いいだろと考えて、渡した。
そいつは、首を傾げ、
色々な方向からそれを見る。
僕は、その生物からリンゴを奪い取り、
こうすんだよと言いながら齧る。
その生物は、
触手を蠢かせながらリンゴを要求する。
「りンご、りンご。」といった感じで
僕を急かした。
僕が、りんごを渡すと、
とても喜んでいるように見えた。
踊っているような、そんな感じがした。
生物は、それを齧り目を大きく見開く。
「それな、美味しいっていうんだよ。」
「オ、いし、イ?」
辿々しかったが美味しいと聞こえた。
生物の目は、とても輝いていた。
僕は何故だかとても楽しかった。
その後も、
僕はその生物に色々なものを食べさせた。
そして、色々なものを見せた。
その度にその生物は、首を傾げていた。
そして、その生物と花火を見に来た。
とは言っても、バレたらまずいので
森の中からこっそりと見た。
パン、パンと花火が打ち上がる。
「君は、いつもオイシイ顔をしている。」
僕は、いつもの決まり文句を生物にいう。
再度パン、パンと音が鳴る。
僕は、地面に仰向けに倒れる。
君は、僕を覗き込む。
君、は不思議そうな顔をしていた。
僕は、君の顔を触った。
君の白い顔は赤くなった。
僕は、死を受け入れようとしたが、
突然体が宙に浮いた。
君は、
「キミのカお、をみルとイツも、
オイ、し、イとオもつタ。
ソンナ、カおがスキだツた。
でモ、そのいマのは、ミたくナイ。」
と言うのだ。
そして、
オールドスタイルの宇宙船が浮かんでいた。
僕は、それを見て少し笑った。
君は、僕を見てオイシイ顔をしていた。
それからしばらくたって
オールドスタイルな宇宙船の中で
僕は、君に僕の星の言葉を教えた。
それからしばらくたって
君が僕に、果物とは言い難いが、
君が果物と言い張る、ボコボコとして
ゲテモノを差し出してきた。
僕は、それを見て
どうやって食べていいか分からず
首を傾げながら、観察した。
そうすると、君は僕のそれを奪い取り
齧ってみせた。
僕は、急かすように
手のひらを蠢かせそれを要求した。
そして、それに勇気を出して
齧り付いた。
思いの外美味しく、笑みが溢れていたのか
君は、
「それね、オイシイってゆうんだよ。」
とオイシイ顔をして言っていた。
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