レタス頭の少年

ある世界に頭がレタスの少年がいた。

 

彼は、詐欺師の奴隷だった。

詐欺師は、

幾度もレタスの少年に暴力を振るった。

そして、ある日詐欺師は頭に血が上り

レタスの少年の頭を刺してしまった。

その瞬間冷静になった詐欺師は、

包丁を抜いたが、

レタスの頭からは血一つでなかった。

レタスの少年の悲鳴は聞こえていたが、

詐欺師はそんな事を慮るような人物ではなかった。

そして同時に

残酷な事を思いついてしまった。

マジックのショーの道具として

レタスの少年を使い始めたのだ。

毎日毎日毎日、レタスの少年の頭を切った。

それでもなぜかレタスの少年は生きており、

翌日には、元通りになっていた。

そしてそれは、

見せ物として大衆に好まれていった。

マジックと少年の過激な演技として。

レタスの少年は、あるとき

痛みに耐えられない。

もうやめてくれと言った。

詐欺師は、血も涙も出ていないのに

どこが痛むと言うんだ?

その叫び声は、単なる演技だろう。

そう言って笑った。


ある世界に詐欺師に殺された少年がいた

その少年は、頭はレタスではなく、

血も涙も流せたと言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る