K・A・I・Go! キラキラ! 介護の現場から

清見こうじ

ケアレポ1  キュン死に注意報!

 あんた、介護士って、お年寄りに付き添ったり、食事あげたり、あげく下の世話までするえらい人やな、とか思ってる?

(ってのなにゆえエセ関西弁?)


 そんで、我が身を削って奉仕する健気な人とか思ってるやん?


 で、「でも私には絶対無理!」とか言ってない?


 まあ、実際、お年寄り助けるのは、介護士の大事な仕事やね。


 でも、助けるって、何でもやってあげることじゃないんよ?


 あと、奉仕の人、って違うわな。


 うちらしっかり、給料貰って働いてますわ。


 プロですから。


 介護のプロ。


 まあ、なんせ常時人手不足やねん、ド素人にちょっと毛の生えた程度の職員も、おるわな、実際。


 そんなん、しっかり介護のプロに育て上げるのも、先輩介護士の大事な役目や。


 介護現場は資格も様々なんで、国家試験がある介護福祉士や、昔はヘルパー2級って呼ばれた研修(実技あり)を受ければ取れる今は介護職員初任者研修って長ったらしい名前で呼ばれる資格もあったり、ちょっと複雑や。


 なんで、とりあえずこのお話では、まとめて介護士って呼んどくわ。


 で、介護士に必要な素質って、なんやろ?



 ぶっちゃけ、優しいとか、思いやりがある、とか、なしな。


 そんなん、あくまでもイメージやし。

 見た目キッツイヤツも、おるしな。

 実際仕事やから、まあ、テキパキこなして行く方が、一緒に仕事するにはありがたいし。

 でもまあ、どんなに仕事出来ても、続かないヤツもおるねん。

 かと思えば、失敗ばっかりで怒られてばっかりやのに、長く続けるヤツもいる。


 仕事出来るとか出来んとか、性格優しいとかキツいとかより。


 一番に大事なものがあんねん。




 それは。


 どれだけ、お年寄りのことを、愛せるか。


 大袈裟やないで。


 まあ、好き、くらいでもいいんやけどな、最初は。

 そのうち、ジジババみると、胸がキュン、ってしてくるようになったら、適性はあるってこっちゃ。


 まあ、どんだけジジババ好きでも、小憎らしいのもおんねん。あ、こんなん、よそで言ったら非難ゴーゴーなんで、オフレコで頼んまあ。


 でも、それはそれなりに、可愛いとこ見つけて、ギャップ萌えしたり。



 笑い事やないで。


 実際、かわいい部屋(ひいきのジジババばっかり集まった部屋やな)入って、スピースピーいびきかいてたり、寝ぼけて歌なん口ずさんだりしてたり、そんな見たら、心臓バクバクや。


 話、ずれたな。


 まあ、人間やから、好みも相性もあるからな、どうにも合わん相手もあるわい。

 そやけど、大好きなジジババの、一人二人がおるだけで、やる気あっぷやで。


 やる気が出れば、多少つらい仕事でも、続けていけるもんや。


 中にはビジネスライクに、仕事は仕事と割りきって働いてるヤツも、おるにはおる。


 でもな、人間、どうしたって、壁っちゅうもんにぶつかることがある。

 そんときな、やりがいだとか、将来性だとか、生活のためとか、そういう大義名分はおいといて、やっぱり拠り所になるのは、好きとか、そういう想いやねんと、思う。


 だから、仕事と割りきってやってる連中も、心の底では、ジジババ好きなんやと、思う、思いたいんや。


 人間相手の仕事は、人間嫌いやったらつらいやろ、お互い?




 まあ、好きすぎて、キュン死にしそうになっても、ヤバイけどな(笑)



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