第50話
起きて,熱無くて,
気合を入れて,
制服の前に立つ.
おりゃっ
着たんぜ.
袖を通して,
冷たってなったけど,
普通に着られて,
徐々に体温で,
制服が馴染んでいった.
何だったんだろうな,あれ.
あんな風に突然,
学校行けなくなる奴って
結構いるんじゃないのか.
明確な理由は有ったり無かったりで.
…そん時に,
誰か理解のある人がいたらいい.
「あー来た来た.
おはよう.」
廊下でリョウが気が付いた.
「はよざいます.
昨日,帰られた?
わざわざ遠くまで,ありがとね.」
「小学生じゃないんだから…
帰られるよ.
ユウは大丈夫?」
「生きてる.大丈夫.」
「サクラちゃんが,
部活辞めたくないのかなって言ってたけど…」
「え…
笑えない位,面白い…
いや,
退部届出しに
行くつもりで,何か…」
多分,
こいつ,
笑わないで聞いてくれる.
「何だか…
制服が着られんかったのよ.
重くて苦しくて…何か駄目だった.」
「あー.
あるよね…
でも,うちは行くしかないから.
自分が良い方,選択できて良かった.」
「まぁ,うん.」
「昼,話せる?」
「り.」
「じゃあ,また後で.」
教室に入ったら,
ハヤトが,
「昼,サッ」
って言うから,間髪入れずに,
「昼はリョウの先約が.」
って返した.
何か悔しがってた.
先手必勝は,今回有効手.
だいたい,3つの返事を繰り返した.
「大丈夫?」
って言われる.
「はぁ,すみません.」
は先生に.
「生きてる.」
は男子に.
「ありがとね.」
は女子に.
ちょっと担任の先生と話すのが,
大変だった.
うまく説明できんのよね.
熱はありませんでした.
制服が重たく感じて,
着られませんでした.
土曜日にワクチンをうけましたが,
関係ないと思います.
これ,全て言った所で,
何かなるのか.
かと言って,
具合が悪くてって,
気軽にも言えない御時世でしょ.
謝って,もごもごして,
従順な学生演じた.
リョウとは3階の渡り廊下に移動した.
あちぃわ.
今日.
んでもって,
3年ばかりいた.
ここ,日差し直やねって話して,
2階の渡り廊下に移動する事にした.
見えた音楽室は誰もいなくて,
勿論,ドアの外にも誰もいなかった.
2階も似たり寄ったりな光景だったけど,
見事に2年しかいなかった.
「暑かったねー.
何だか冬服残念.」
「仕方ないよ.
明日から完全移行.
冬モード,寒さ防御フィールド.」
しししって笑った.
「台風って文字見た.」
「あぁ,見た見た.
何だっけ,ヤバー!のトップ.
中見らんかったけど.
関係あんのかな.」
「どうなんだろうね.
僕も中は見てないや.
ねぇ,本題なんだけど.
部活辞めるでいいんだよね.」
「うん.辞めるけど.」
「ユウ…」
「何?はよ言って.」
「…塾,うちを検討しない?
父に聞いてみたら,
母子家庭なら半額って言ってた.
何だか気になっていたみたいだから.」
塾かぁ…
行ってみたいかも.
「ありがと.
持ち帰り,前向き検討で.
とりあえずパンフ頂戴よ.
大元分からんと親と話が出来ん.」
パンフは教室って言うから,
リョウと教室へ戻った.
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