第37話
ロール.
トレモロとも言うらしい.
ちらっと見たサクラは一生懸命な顔で,
練習していた.
木琴・鉄琴の呼び名かと思っていたら,
シロフォンやグロッケンとも呼ぶらしい.
こじゃれてる.
サクラは何度も同じ個所を速度上げて弾く.
躓くを繰り返す.
安定して,弾けるようにならないと
話にならないらしい.
俺はスティックを貰って,
見よう見まねでするけど,
結構難しい.
コツがいるのではないだろうか.
練習量だけじゃ...
だいたいサクラも適当だから,
先生がダメなんじゃ…
言ったら怒られそうだった.
帰ったらネットで検索してみるかなぁ.
均一で音の粒が無数に続いて行く
「ザーーーー」でゴールらしい.
サクラのお手本も合ってんのか.
とりあえず,時々ポコポコして,
時々力抜いて,打ってみた.
多分,全然,まだまだ.
帰りのミーティングでタピコ…
先生が俺の事紹介してくれた.
見た事ない人たちがパラパラいた.
多分,別の部屋で練習してんだろうな.
サクラが,帰り何と聞くので
チャリとだけ答えて,教室を出た.
行きは時間がかかるのに,
帰りは早く帰り着いた気がするの何でかなと思う.
スマホ立ち上げて,
イヤホン耳にねじ込む.
すげぇ何度も聴いて分かったことがある.
傾倒して心酔して…
凄いピタッとハマる所がある.
そこは,きっと感銘を受けて,
尊敬してて,憧れる.
こんな風に世界が見えてる人がいるんだって,
純粋に感動したりもする.
こんな表現方法があるんだとか,
この音階,凄く痺れる部分とか.
だけど,あぁ俺は…
ここでこんな事言わないだろうなとか,
こんな風には思えないって感じる.
違和感がある部分や不協和音になる部分がある.
多分,その違いが今の俺自身なんだ.
きっと,これから成長していくと,
歌い手さんのように感じるかもしれないし.
感じないかもしれないし.
俺まだ成長中だもんなぁ.
きっと,音楽もそうなんだけど.
沢山の人に出会って,色んな意見を入れて,
自分がどう考えるかを
常に考えなくちゃいけない気がする.
多分,それが生きてることで,
自分自身生きてることの証のような
自分だけの正誤合わせ作業.
多分,こんな大勢の人と共にする機会なんて,
学生を通り過ぎたらないんじゃないか.
SNS色々あるけどねぇ.
ネットも…
情報や意見が溢れかえってる.
リモートも経験したけど,
耳で生身の声を聴くって,
やっぱり違う.
声に乗って,感情がダイレクトに届く.
やっぱり,そんな機会超重要.
サクラの帰り何って…
手段を聞いた訳では無くて,
その先の話だったのかななんて,
ボンヤリ思った…
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