第17話

「ねぇ,ユウ.」

キラキラした目でリョウが見る.


あ…

この感じ知ってると思った.

何か良い事思いついたって感じの感じ.

でも,だいたい個人的に良い事の域なんだよな…

聞きたいけど聞きたくない感じ.

もう俺の周りで,こんな様子の奴久しく見た事ない.

何言いだすのかなって思いながら,

何だかワクワクした.


「な…何?

とんでもな事言わんでね.」


「今日,塾リモートなんだ.」


「あぁ,リモートって言ってたよね.」


「1限,数学だから一緒に受けてかない?

ユウ,数学好きでしょ.

成績良い順に返すぞ~って先生言う時,

貰うの早いでしょ.」


「数学ってさ.

何か好きなんだよ.

答えがスパーンって出るでしょ.

国語とか,この語句とこの語句入ってたら正解みたいな…

何だか,まどろっこしい.」


「何だか言いたい事はとっても分かるけど,

国語もロマンがあっていいよ.」

とリョウが笑った.


「ん~でも良いの?

勝手に受けれないでしょ.」


「受けるなら連絡しとく.」


「悪くない?」


「大丈夫大丈夫.連絡しとくね.」

とリョウが電話をし始めた.


『あっ.もしもし,今お電話大丈夫ですか?

お世話になります.

渡会ですが,塾長いますか?』


塾長?

保留音が聞こえた.


『あっお父さん?

今いいの?

同級生がお試しで数学の授業一緒に受けるけど大丈夫かなぁ.

うんうん,そうそう.

いいよね.分かった.有難う.また後で.』


お父さん!


母さん学校教師で,父さん塾長なのかぁ.

サラブレッドだわ…


「ユウ!いいって.

一緒受けよう.

1限の後,時間が押したら,そのまま社会に突入するかも.

見送りできないかもだけどいい?」


「うん,失礼だけど,帰らせてもらうわ.

あまり遅くなっても,母さん心配するし.」


「ルーくんも一緒のクラスだよ.

日吉くん.何で一緒に受けてんのって思うかもだね.

でも,何であだ名がルーなの?」


「ルーも塾行ってたんじゃん.

ハヤトが聞いても,はぐらかすって言ってた.


中学の少年自然の時に,カレーが出てさ.

何か御飯とルーと比率がおかしい食べ方だったのに,

最後,皿が綺麗に食べ終わってて.

何かすげぇなって事でルー.」


「そうだったんだ.

彼,几帳面そうだもんね.

少年自然の家は,だいたいカレーだよね.

僕もカレー食べた.」

とリョウが笑った.







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