お笑い学入門

僕にはマイルールがある。


「人と話すときは極力ユーモアを入れる」ということだ。


なぜなら、誰も自分に興味を持ってくれるはずがないと思うからだ。


例えば有名な俳優が「このPPAPってやつ面白い」と言うと「確かに面白い!」「拡散しよう!」となるが、僕が言ったところで無視されるだろう。


そこで取り入れたのがユーモアだ。


何でもない世間話にもユーモアを交えると聞いてもらえるようになる(気がする)。


僕自身、毒にも薬にもならない話には興味ない。


「この前亀飼い始めたんだー」と言われたところで「それで?」となる。


ユーモアを意識して会話してみると、どんな内容がウケ、どんな内容がウケないのかがわかってきた。


あくまでも経験則だが、参考になれば幸いだ。




1.人を貶すギャグはウケない


TVではよく見る光景だが、真似するのはおすすめしない。


要するに、他人をいじるパターンだ。


例えば太っている人に対し「お前太ってるな」と言うと殴られても仕方ない。


僕もたまに他人をいじるが、それは信頼関係ができてからの話だ。


信頼関係があっても傷つくようであればやめるようにしている。


例えば、僕のフォロワーに「今日こそ小説を書く!書く!」と言っておきながら全然書く気配がない人がいるが、その人に「はよ書け」といじることはある。


これは「この人なら許してくれる」という信頼感と、対して傷つかないだろう事柄に触れているので、ダメージは少ないだろうとの判断だ。


ここで「お前は書かないから駄目だ」などと言ってしまうとフォロワーどころか友達がいなくなる。


これはいじりではなく人格否定である。


また、自虐ネタもやめたほうがいい。


やりすぎると自信がないように見える。




2.相手が知らないことはウケない


例えば、職場のPCが動かなくなった時にこんなことを言われた。


「PC壊れちゃってるね。これは始末書だな」


後に冗談ということがわかったが、言われた直後は本気で始末書を書かなければならないと思った。


本気にさせてしまったのでは冗談にはならない。


事前に「始末書を書かなくてもよい」ということを知っていれば「いや、そんなわけないでしょ」とツッコむことができ、冗談で済んだかもしれない。


冗談を言うには共通認識が必要だ。


ちなみにこの共通認識を利用してグループの中から同じ趣味の仲間を見つける方法がある。


僕がよくやるのが、漫画・アニメの名言の引用だ。


分からない人には分からないが、分かる人には何かしら反応があったりするので、趣味が合う人を探すのにおすすめだ。


また、誰もが持っている共通認識という意味で、あるあるネタは万人受けする。


あるあるネタがウケるのは、ほとんどの人が理解できるからだ。


量産系サイトの「いかがでしたか?」、メガネを頭にかけて「メガネメガネ」、大阪人の「知らんけど」、大阪人が物を落としたときの「活きがええなあ」、大阪人の「代わりにトイレ行ってきて」。


あるあるネタによって共感が得られ、場が和むだろう。


知らんけど。




3.真面目過ぎる性格の人にはウケない


他の人にはウケたが、この人にはウケない、ということもある。


前述の2.で述べたような知識の差もあるだろうが、本人の性格のせいでウケないということもある。


例えば、会社の飲み会に参加するときに、会費を現金で集める受付の人に対して「ポイントカードでいいですか?」と尋ねたところ「ダメだよ。現金じゃないと」と真顔で注意されたことがある。


受付の人は恐らく、僕のくだらない発言を真面目に受け止めてくれたのだろう。


一方、関西の大学祭で同じことを言うとウケた。


もしかしたら、関東と関西でも違いがあるのかもしれない。


また、これは分類に迷ったのだが、「冗談を言える仲だと思われていない」「冗談を言うような人と思われていない」は3.に分類することにする。


ある人に「冗談を言うような人だとは思わなかった」と言われたことがある。


まだ会って日が浅かったからだと思っていたが、結局何を言ってもその人が笑うことはなかった。


普段でも笑わないような人だったので、真面目だから笑わないのだと思った。




4.ハードルを上げるのはNG


自分のことを面白いと言う人はいないだろうが、周りがはやし立てることはよくある。


例えば「こいつ、今から面白いこと言うから」というようなことだ。


大きなお世話である。


相手が期待してしまった場合、心理的リアクタンスのせいで笑えなくなる。


心理的リアクタンスとは、命令されるとそれに逆らいたくなる心理だ。


例えば「笑え」と言われると笑えなくなるようなものだ。


「今から面白いこと言うから」というのは「笑え」と同義だろう。


期待していなかったのに意外と面白かった、という場合にしか使えないので意味がない。


大罪である。


似たようなフレーズでたまに聞くのが「何だと思う?」だ。


これを聞くたびに「いや、知らんがな」と言いたくなる。


しかもそう言う人は決まってオチが弱い。


「この前道歩いてたら目の前にすごい奴いてさあ、何だと思う?」


知らんがな。


「歩きタバコしてるやついてさあ、ぶん殴りたくなったよ」


「で?」という話である。


僕の友人の「道にしらすが落ちてると思ったらシュレッダーの紙切れだった」という話の方がまだツッコミどころがある。


ハードルが上がってるのか、オチが弱いから強く見せようとしているのか。


どちらにせよやめた方がよい。


テンポが悪くなる上に、人は思うほど他人の話を興味を持って聞かない。


「何だと思う?」と聞くのは、ハードルを上げる他ならない。


やめた方が賢明だろう。




5.下ネタでウケるかは人による


下ネタは人によってウケたりウケなかったりするので難しい。


例えば、性器や排泄物の名前を連呼するのは子どもにもできる。


しかも、それでウケるのは子どもぐらいである。


つまり、知能が子ども並みに低い人には割とウケるのではないかと思う。


とはいえ、人によっては引かれる可能性がある。


ここでおすすめの方法が「少し捻りを加える」ことだ。


直接的な表現は避けて「僕のバット」や「夜にホームランを打つ」と言い換えたりするとウケると思う。


また、下ネタでウケるためには信頼関係も必要だと思う。


昔、あまり仲がいいと思っていない人から下ネタを言われ、受け答えに困ったという経験がある。


プライベートに踏み込む恐れがあるため、距離感は必要だろう。




6.バカをしてウケるかは人による


YouTubeなどでよく見るが「風呂場をスライムでいっぱいにしてみた」など、破天荒なことをして受けを狙う、というパターンも見られる。


僕にとっては何が面白いのか分からないが、再生数はあるのでウケる人はいるのだろう。


高校の時、氷の上に乗っていた男子学生が落ち、びしょ濡れになったのを周りの人が笑って見ていたが、もし氷の上に乗っていたのが僕の友達だったら、笑っている場合ではなく、心配する。


バカもいじりと同じように、TVやYouTubeの中で楽しんでおきたい。




7.ダジャレがウケるかは人による


僕はダジャレが好きだが、ウケない人もいるだろう。


ただし、滑りやすいダジャレは知っている。


それは、誰でも思いつくようなダジャレばかり言う場合としつこい場合だ。


例えば「ふとんがふっとんだ」「猿が去る」といったようなような誰でも思いつくようなダジャレは、子どもにはウケるかもしれないがいい大人が言うのはやめたほうがいい。


一方で少し捻ったもの、例えば「肘とかけて道路と解く。その心は、曲がり角はちゅうしゃ(駐車・注射)禁止」や「今三枚だから、あと一枚でしまい(終い/四枚)にする」などはまだウケる見込みがある。


また、ダジャレを連発するのも飽きられるのでよくない。


毎日カレーを食べるよりも、たまに食べるカレーの方がおいしい。




8.そんなわけないやろ系はウケる


おおげさな表現は、多くの人が冗談だと理解できる。


特に大阪の人はこれが上手い。


例えば「代わりにトイレ行ってきて」や、パック詰めの魚を落としたときに「活きがええなあ」といったものである。


誰でも「そんなわけないやろ」ということが分かる。


「熱が出た。ちょっと風邪引いたかも」など普通に起こり得ることは当然ながらウケない。


しかし、「熱が出たからおでこで目玉焼き作るわ」など多少オーバーな表現にするとウケたりするのでおすすめだ。




あなたはお笑い芸人になるわけではないと思うので、それなりにウケは狙う必要はないが、笑いによって人間関係が円滑になれれば幸いだ。

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