第八話
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この後、さらに買い物籠をもう一つ追加してカートを転がしながら、買い物を済ませた。
そして。
「ここ、どこ……」
両手に持った買い物袋の重量で、指が痛い。
方向音痴になった覚えは無いのだが、土地勘が無いせいかもしれない……。
兄はレジの行列待ちの間に、秦太郎さんから電話が来てそのままいなくなってしまった。
一人でこの大量の食材やら調味料を袋詰めしていた間、それでも兄は戻ってこず、周囲にもいないので、買い物袋を持ったままうろうろしていた。
辺りに見当たらないのなら、外へ出て話しているのかと踏んで、出口へ向かったのが運の尽き。最初に入ったときに東西南北のどの入り口から入ってきたのかすらも、忘れてしまっていた。
――ああ、夕焼けがなんだか切ない。
「もう一回もどろ」
と、よろよろと両手の買い物袋の重さに振り回されそうになりつつ、きびすを返すと。
「…………え」
もう一度大型スーパーの中へ入ろうとすると、目の前に特攻服姿の人壁が――
「……………………」
警察二十四時の再来だった。
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