第19話 魔将軍到来

~厄災当日~


遂にこの日が来た。

結局エリシャは戻ってこなかった。

通信で聞いた所によるとエルデンでもゲートが出現したらしい、しかも魔将軍のやつ。

連発で来すぎじゃないか?

エリシャの登場で魔族も焦ってるのか?

魔将軍が倒されたんだしな。

イレギュラーなのは確かだ。


そして面白い事も聞いた。

エルデンに帝国勇者が来たらしい。

相変わらずの振る舞いでエミリアに対して奴隷になるように命令したという。


コーンが止めに入ったが玉砕。

その時エリシャが到着。

帝国勇者をボコボコにしたらしい。

ざまぁねぇな。


・エリシャ

「浩二が無念を晴らしたいって言ってたから一応生かしておいたよ。殺しといた方がよかった?」


サラッと告げるエリシャが頼もしい。

やっぱカッコいいっすエリシャさん。

帝国勇者は捨て台詞を吐いて逃げて行ったらしい。


・サリウス

「さすがエリシャ殿。

僕もあいつにやり返したいな。」


大丈夫、その時はすぐに来るよ。

あいつの性格上、厄災の後に来るはずだ。

案外もう向かってたりしてな。


エルデンの厄災は明日だ。

俺はもう間に合わないからエリシャに任せた。

彼女ならやってくれるだろう。


これで3国の厄災が終わる事となる。

あとは商人の国『アキナ』だけだな。


・サリウス

「浩二殿、兵の配置が終わりました。」


フーバ王に頼んで作戦指揮をさせてもらった。

だって、FFで仲間を殺したくないしね。


・「作戦は理解したかい?」


・サリウス

「大丈夫だよ。

まずは浩二が隠れて遠距離攻撃。

その後、僕は『スレイド』で突撃。

地面が赤い場所には近づかない。

魔将軍が現れたら僕が名乗る。

そして倒せば良いって所だよね?」


・「そそ、簡単だろ?」


・サリウス

「簡単すぎて逆に心配だよ。」


大丈夫、既に手は打ってある。



*スレイド(ストーク系)

アサルトライフルの一種。

基本的にはストークと呼ばれる武器。

上位版になるとスレイドとなる。

連射速度、弾数、リロード時間、射程距離。

ダメージ、弾速、精度。

どれを取っても高水準の素敵な武器。

総合的にかなり使いやすい武器である。

更に敵を貫通する性能を持つ物もある。

作者お気に入りの逸品である。



このゲートのシステムは失敗だったな。

国民に絶望を与えて帝国に頼らせる。

そして採取すると言うシステム。

それだけならゲートは大きな意味を持つ。


ゲートが出現してからの7日間。

十分な恐怖と絶望を与えられるからな。

そんな時に帝国の魔道兵器だ。

頼るしか選択肢は無くなるだろう。

確かに賢いやり方だ。


だが、俺が居る時は失策でしかない。

何故なら迎撃の準備が出来るからだ。

どんな敵にも対応して見せるさ。


・「じゃあサリウス、配置についてくれ。

通信は繋げたままでやるぞ。」


・サリウス

「解った、浩二も頑張ってね。」


相当自信がついたのだろう。

サリウスに迷いはない。

なんかカッコいいな。

勇者ってのはあんな感じなんだろうな。


俺はいつも通り少し離れた場所に陣取る。

戦場がよく見える位置だ。


そして時間が経過していく。


バリバリバリ


ゲートから大きな音がする。

嫌な音だ。


バリバリバリバリ


何か、やけに長くないか?

いつもならもう割れてそうなんだけど。


バリバリバリバリ


細かくヒビが入る。

演出が凝ってるな。


バリーン


やっと割れた。

そして無数の魔物が飛び出してくる。


・「演出が派手になっただけか。

んじゃ、やりますか。

モデル『レイダー』」


いつものピンクの光。

そして放たれる無数の光の矢。

魔物たちは蹂躙されていく。


・サリウス

「これが、、、浩二の力。」


初めて見るスプライトフォール。

その神々しい光はフーバの兵をも魅了する。


・「ふむ、結構多いな。」


だが魔物の行進が終わらない。

相当な数をぶつけてきている。


・「どれだけ来ても同じだけどな。

『ターレット』起動。」


昨日のうちに仕込んでおいた武器を展開。

エルデンの時の様に12カ所は無理だった。

一度に持てる武器数が決まってるからね。

『レイダー』は3種類まで。

あとビークルも持っていける。

まぁ、途中で変更すれば良いけどさ。

仕込み中は変えられない。


・「ビークルは目立つからやめておこう。

しかし、魔物の群れが終わらない。」


ゲートから出てはターレットに倒される。

その光景がずっと続いている。


・「そろそろターレットの弾が切れる。

んじゃ次の手を実行しますかね。」


こうなる事を想定していなかった訳じゃない。

物事は最悪の展開を考えて動くもんだ。


・「モデル『フェンサー』。

『高高度強襲ミサイル』装着!」



*高高度強襲ミサイル

肩に装備する自動追尾型誘導ミサイル。

一度に14体まで同時ロックオンが可能。

一撃のダメージは1500以上。

両肩に装備すればダメージは倍に膨れ上がる。

攻撃範囲、射程距離、ロックオン時間。

全てにおいて優秀な武器と言える。

一つ欠点があると言えば、、、

非常に味方を巻き込みやすい武器でもある。



・「ロックオン、発射!」


両肩から計28発のミサイルが放たれる。

ミサイルはゆっくりと放物線を描き。


ドドドドドドド


恐ろしいまでの爆発を引き起こす。


・「は~い、ドンドンいきまぁ~す。」


このゲームに完全弾切れの概念はない。

弾が切れたらリロードする。

そうすれば無限に撃てるのだ!


ドドドドドドド


魔物たちは成す術もなく消滅する。

途中から飛行型の魔物も出てきていた。

しかし結果は同じ。

高高度ミサイルの餌食となる。


・「なんか、やけに多いな。

あれか?魔道兵器の使用を待ってるのか?

悪いが今回は使わないぞ。

だって使うと面倒な事になるだろうし。」


高高度ミサイルの爆撃は終わらない。

魔物がやってくる限り撃ちまくる。

そして、、、


・「ふむ、出て来る敵が少なくなって来たか?」


それでも続けていると目に見えて減ってくる。

そろそろかな?


・「サリウス、出番だ。

存分に暴れてやれ!」


・サリウス

「エリシャの言ってた通りだね。

浩二は凄い、だけど負けないよ!」


サリウスが一人で飛び出していく。

未だに増え続ける魔物の群れ。

アサルトライフルを抱えながら走る勇姿。

まるで映画で見る光景のようだ。


・「さてと、俺も切り替えますか。

モデル『レンジャー』・『パイロン』装備。」



*パイロン

スナイパーライフルの一種。

ダメージは低めの800程度。

しかしこの世界なら十分すぎる威力。

威力と射程は低いが連射速度は中々。

この武器をチョイスした理由は貫通性能。

重なった敵なら一気に貫ける。



・「と言う訳で、飛行能力の魔物は任せろ。」


狙撃は得意だ。

撃ち合いのゲームは死ぬ程やったしね。

時間だけはあったんだ。

まさかこの時に生きるとは思わなかった。

あの地獄と思えた時間。

生きる意味を無くしていた時間。

無駄じゃなかったんだな。


俺はドンドン敵を撃ち落とす。

地上ではサリウスが暴れまわる。

そして魔物の出現が止まった。


、、、遂に現れた。


・???

「なんだぁ~?全部やられてるじゃねぇか。

どういう事だ?」


ひと際デカい個体。

まるでドラゴンのようだ。


・サリウス

「貴様が魔将軍か?」


・???

「何だお前は?」


・サリウス

「フーバの勇者サリウス。

お前を倒す者だ!」


サリウスは浩二に言われた通りに名乗る。


・???

「貴様が勇者か、だが変だな?

お前はもうすぐ死ぬと聞いているが?」


・サリウス

「残念だったな、僕は蘇った。

お前を倒す為に!」


カッコいいぜサリウス。

頑張れ勇者!

ここまでくれば俺の出番は無いかな?


・ザイン

「ふははははは、威勢が良いな。

気に入った、特別に名乗ってやろう。

魔将軍が一人、火竜ザイン。

冥土の土産だ、受け取れぃ。」


名乗りと同時に攻撃を仕掛けてくる。

大きな口から炎が放たれる。

サリウスは避けずに食らう事を選択した。


・ザイン

「はっはっは、直撃したか!

骨も残さず燃え尽きるがよい。」


笑いながら燃え盛る炎を見つめるザイン。

既に勝ったつもりでいる。


・「このまま俺が撃ち抜けば勝てる。

まぁ、ここはサリウスに任せるか。」


正直、いつでも勝てる。

やはり、この能力は完全に場違いだな。


・サリウス

「なるほど、浩二の力は異常だな。

APは29770から29200。

あいつの火炎は570なんだね。

いや違うかな?

今も炎でダメージを受け続けている。

20ずつ減ってるからもっと少ないか?」


炎で焼かれてるのに涼しい顔で計算している。

周りから見れば異常な光景だわな。


・ザイン

「ばかな、、、我が火炎で無傷だと?」


ザインが吠える。

まぁ驚くよね。


・ザイン

「そうか、貴様は火が効かないのか。

確かに耐性を持つ者もいる。

ならばこうするまでだ。」


ザインが何かを唱える。

するとゲートから巨大な魔物が出現する。


・サリウス

「『始まりの魔獣』だと?」


・ザイン

「さあ、どうする?

こいつには歯が立たなかっただろう?

早く止めないと国が潰れるぞ?」


ザインの笑い声が響く。

サリウスに火が効かないと思ったザイン。

物理で仕掛ける事にしたのだ。


・ザイン

「(奴が背を向けた時、斬り裂いてやる)」


しかしザインの思惑は外れる。

サリウスが動かないのだ。


・ザイン

「どうした?国が亡ぶぞ?

兵が死ぬぞ?それでも良いのか?」


・サリウス

「お前は僕が倒す。

魔獣は今から塵と化すさ。

僕には最高の仲間が居るんだ!」


勇ましく答えるサリウス。

やっぱりカッコいいな、あいつ。


仲間が今から魔獣を塵とする。

サリウスからの注文と読み取りました。

まったく無茶な注文をしやがって。

んじゃ、応えてやりますかね。

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