第7話 エリシャの特訓

まずは俺の能力をエリシャに知って貰う。

なぜかリームとエミリアも話を聞いている。


・エミリア

「つまり、浩二の能力は4種類あるのね。」


ゲームの話と言っても通じないだろう。

大まかに4種類の能力があると言っておいた。


地上戦特化「レンジャー」

範囲攻撃特化「レイダー」

重火器特殊攻撃特化「フェンサー」

そして飛行能力のある「ダイバー」


正式名称ではなく覚えやすいようにしてみた。

本当はどの兵種でもある程度何でも出来る。

だが教えるつもりはない。

エリシャが使うのは「ダイバー」だけ。

残りの能力は使えないと言う事にしておいた。

一日で戦えるようにしなきゃいけないしね。


・リーム

「能力別に魔法を使い分けるのかしら?」


このゲームに魔法と言う概念はない。

だが説明している時間がもったいない。

と言う事で「その通り」と言っておいた。


・エリシャ

「う~ん、にゃんだか情報量が多いよ。

右下の縦に長い物はにゃに?

左下の文字はにゃにかにゃ?

左上の丸いのはにゃんだろう?

右上の、、、あ、これがAPか。

確か召喚の時に100と言われてたよね。」


エリシャも頑張って解らないなりに解読中。

一つ一つ教えて行こう。


・「右下のバーはエネルギー残量。

武器の充電や飛行時に消耗する。

エネルギー限界を超えると数秒動けなくなる。」


この辺は実戦で教えよう。


・「左上の丸いものはマップだ。

味方は青色の点、敵は赤い点で見える。

現在は青い点が3個あると思う。

エリシャの仲間が表示されている筈だ。

俺と、リーム、エミリアだろう。」


円の中心が自分が居る位置だと教える。

リームとエミリアに協力してもらい解決した。

リーム達が動けば青い点が動く。

エリシャが動けば青い点が離れていく。

まぁ、そんな感じかな。


問題はここだな。

右下の武器名称。

こればかりは体験して覚えるしかない。


そして最後に飛行訓練だ。

これも念じれば飛ぶ事が出来る。

エリシャはすぐに飛ぶことに成功する。

それではエネルギー残量を絶えず気にしながら飛ばなければならない、その重要性を覚えて貰おう。


・エリシャ

「風が気持ちい、、、」


初めて飛行できた時、感動するよね。

でもね、気を付けないと。


・エリシャ

「むむむ?

何処からともにゃく変にゃ音が?」


それは残り残量が少ない時の警告音です。

でも今回はワザと黙っておいた。

そして、、、


・エリシャ

「あれ?あれれれれ?」


かなりの上空まで飛んでいたエリシャ。

装置のオーバーヒートで急速落下する。


・エリシャ

「きゃあぁぁぁぁぁ」


エリシャは悲鳴を上げながら落下していく。

そして地面に叩きつけられた。

エミリアもリームも目を覆っている。

人が遥か上空から落下したのだ。

何も知らない人ならそうなって当然だろう。


・「エリシャ~、黙っててごめんね。」


俺はエリシャの落下地点に降り立つ。


・エリシャ

「え、、、、無傷?」


当然である。

ゲームではどんな高さから落下しても関係ない。

スタッと着地して終わりである。

この辺りは人知れずエルデンで経験済みだ。

流石に最初に試した時は怖かったが、、、


エリシャが軽く放心状態になっている。

そして我を取り戻して俺をポカポカ叩く。

エリシャって意外と可愛い所があるな。


暫く叩かれているとリーム達がやって来た。

そして説教が始まった。

黙っててごめんなさい。


2人はエリシャが死んだと思ったらしい。

でも、一度この様な経験をしていれば嫌でもエネルギー残量に気を付けるようになるだろう?

荒療治だが一番手っ取り早いから。


・「エネルギー残量は常に気を付ける事。この能力は安全なものではない事をしっかり覚えてくれ。」


・エリシャ

「はい。」


すっかり従順になったエリシャ。

どうやら落下の恐怖が忘れられないらしい。


さて、最後は武器仕様だ。

FF適用ゲームだからな。

ここからは本当に気を付けないとね。


・「これから武器の使用方法を教える。

絶対に人に向けちゃダメだ方ね!」


一応念を押しておいた。


・リーム

「武器を人に向けるわけないよ?

剣を向けたりしたら宣戦布告になっちゃう。」


そうだった、、、

この世界は実際に武器を使用している。

武器に対する危機感は元の世界の比じゃない。


・「そっか、でもまぁ一応ね。」


威力の桁が違うんですよ、とは言わなかった。

そのうち解る事だしね。


後は実践あるのみ。

まず一通り武器を使用してもらう。

途中でエミリアとリームが大興奮していた。


・エミリア

「光魔法?いえ雷魔法?

両方使えるの?」


・リーム

「すごい、すごいよエリシャ。」


武器の選出中、2人はずっとはしゃいでいた。

対してエリシャは真剣そのものだった。

上空からの落下はこんな所にも影響していた。

しっかり聞いてくれて先生は嬉しいです。


武器に対する危機感が高いのは助かる。

誤射は許されない。


最後は模擬戦だ。

俺と何度も戦ってもらった。


そして夜を向かえる。



~グランデ城の一室にて~


なんとか一通り教える事が出来た。

今回選んだ武器は3種類。

本来、ゲームなら2種類を選んで戦場に向かう。しかしゲームと違って戦闘中でも武器交換が出来たのだ。

これは俺との模擬戦で判明した事だ。

お陰で戦術の幅がかなり広がるだろう。


・エリシャ

「今日一日でとんでもにゃい経験をした。

もう魔物にゃんかに負ける気がしにゃいよ。

しっかし浩二の戦いは華麗だったね。

浩二より強い奴が居るとは思えにゃい。」


お城のお風呂で汗を流した後のお話だ。

エリシャは一足早く出てきていた。

俺ともっと話したかったらしい。

リームとエミリアはまだ入っている。


模擬戦では俺の圧勝だった。

リームとエミリアにもそう映っただろう。


だが戦っていて解った事がある。

エリシャの戦闘センスは計り知れない。

長年やり続けた俺と良い勝負するまで成長した。

もう同じ武器では敵わないかもしれない。

実際何度もやばい場面があった。


途中で武器チェンジして倒させて貰いました。

武器知識の差で勝ちを捥ぎ取ったのが真相です。

卑怯だろうと何だろうと勝てば良いのです。


・「APの概念は理解できた?」


・エリシャ

「うん、この数値が耐久度だったよね。

今は5000になってる。

浩二と同じ数値だと聞いたけど最初は100だったよね?凄い努力したんだね。

これってどの程度耐えられるの?」


APを上げる行動はしていません。

ただ、毎日コーンにボコボコにされてました。

と言う訳で努力していたとしておこう。


APの耐久度か。

そう言えば体験してなかったな。

模擬戦で数値を見ながらやってたけど、未知の武器同士では解らないよね。

どうしようかなぁ。


・「ん~どうすれば良いかな。

こっちの世界に来てどんな攻撃がやばかった?」


これは実際に体験してもらうしかない。

と言ってもどうやって試そうか。


・エリシャ

「ん~、リームの魔法かにゃ?

魔法を知らにゃかったからお願いした。

そしたら結構やばい攻撃でさ、、、

手加減してたらしいけどかにゃり痛かったよ。」


いきなり何やってるんですか?

と、突っ込みたい所だが必要なのかもね。

自分がどれほど強いのか知らないと引き際が解らないし、魔法の概念がない世界から来ているんだから威力を知っておかないといけないよね。

俺はやらないけど。


・「ならリームに協力してもらうか。」


それから戦い方に関してじっくりと話し合った。

暫くして2人が戻って来た。


・エミリア

「おまたせ、遅くなってごめんね。」


どうやらお風呂で今日の事を語っていたらしい。

エルデンで起きた厄災の話もしていたと言う。

光魔法と炎魔法だ。

たぶん、アレの事でしょう。


ちなみにリームは炎魔法を得意とするらしい。

エミリアがフォボスの話をして盛り上がっていた。

余り話を盛らないでね、、、


・「リームにちょっと協力してほしいんだけど。これから良いかな?」


・リーム

「こんな時間にですか?」


確かにもう夜だ。

でもやっておかなきゃいけない事だからさ。


・リーム

「浩二のお願いなら仕方ないね。

何をすればいい?」


とりあえず、城の訓練場に移動した。


・「んじゃ、エリシャに魔法をぶっ放してくれ。」


訓練場に俺の声が響き渡る。

只今訓練場の真ん中にリームとエリシャ。

俺とエミリアは端に待機中。


・リーム

「私の魔法を?エリシャに?

嫌よ、2度と彼女を傷つけたくない。」


渋るリーム。


・「明日に向けてどうしても必要なんだ。」


その言葉にリームは考え込んでいる。

人に向けて魔法を撃つことに躊躇している様だ。

魔法の危険度が物語っているな。


・エリシャ

「頼むリーム、どうしても必要な事なんだ。」


エリシャも頼み込むがリームは悩んでいる。

ここで手加減されると意味がない。

さてどうしたものか、、、


・エミリア

「流石に人に向けて魔法は撃てないわ。

本当に必要な事なの?危険すぎる。」


エミリアが俺に呟く。

でも、リームはエリシャに撃ったらしいよ?

と言いたかったが黙っておいた。

訓練場の中心ではエリシャがリームを説得中。

このままだと埒が明かないな。


・「困ったな、、、どうしようか。

そう言えばエミリア、聞きたかったんだけどリームにはどんな事を話したんだ?」


折角エミリアと2人で話せる機会だったので聞いてみる事にした。盛大に話を盛ってそうだったし。


・エミリア

「全てよ!」


胸を張りつつ答えるエミリア。

成る程、全てね。

リームは炎魔法が得意だって言ってたな。

俺はリームの元に歩いて行った。


・「じゃあ、こうしよう。

リームの魔法でエリシャを倒す事が出来たら『フォボス』の魔法をしえてあげる。俺が回復魔法を使えるの知ってるだろう?安心して放てばいい。」


魔法ではないから教える事など出来ない。

嘘ついてごめんね。

だが、効果は抜群の様だ。


・リーム

「エリシャ、覚悟してね。」


リームさんのやる気がMAXになった。


・エリシャ

「お、、、おう、」


若干引き気味のエリシャ。

対してリームは既に魔法を展開し始めた。

ちらほら見えるのって魔方陣?

めちゃめちゃカッコいいな。


・エリシャ

「必要な事とは言え、2度目は怖いな。」


ぼそりと呟くエリシャ。


・「大丈夫だ、俺を信じろ。」


エリシャに大丈夫だと伝える。

一応APの数値を上げておこう。


・エリシャ

「APの数値が7000に上がった?

浩二が何かしたの?」


・「一応上げておいたよ。

俺の読みが通りなら1000でも十分だと思う。」


・エリシャ

「浩二、、、でもやっぱり怖いよ。」


1度食らって痛い思いしてるもんな。

もう一度無防備で食らってくれと言うのは酷か。


・「んじゃ俺も一緒に食らってあげるよ。」


驚くエリシャ、微笑む俺。


・リーム

「いつでも良いわよ。

エミリアから聞いた『フォボス』

必ず覚えて見せるわ!」


リームの魔力が高まっていた。


・「リーム、俺も一緒に食らうよ。

俺も同時に倒せたら全ての魔法を教えてあげる。

全力で撃ってきなさい。」


俺の言葉を聞いたリーム。

もう止まらない。


・リーム

「スプライトフォールは私の物よ。

いくわよぉぉぉ!」


リームの魔法が放たれる。


・エミリア

「まだ浩二が居るよぉぉぉ!」


訓練場の端に居るエミリアには解らない。

叫ぶしかなかった。


・「成る程、こりゃすごい迫力だ。」


目の前に迫りくる大きな火の玉。

俺の2~3倍くらいかな?

エイシャは俺にしがみ付いて来た。

初めての魔法を思い出したのだろう。

そして魔法が直撃する。


ドゴーン


訓練場に爆音が響き渡る。

爆風は離れていたエミリアを襲う。

凄まじい威力だ。


・エミリア

「そんな、、、浩二。」


・リーム

「はぁはぁはぁ、、、」


息を切らしているリーム。

その場に座り込んでしまうエミリア。

対照的な2人。

訓練場は静まり返っていた。

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