風景


風景を

眺めていた

ただ風景が

そこにあるだけだった

おれは半開きの口で

それを眺めていた

眺めさせられていた

自分の意思なんて

何処にも無いんだ

「感想を述べよ」

命令が下る

脳内で起こる電気信号まで管理されかけていた

特に言うべきことなんて

何も無い筈なのに

言わされちまう

「感動しました」

それはおれの声なのか?

渇いた風よ

何もかも吹き飛ばしてくれ

まるでおれの心をそのまま映したかのような

この空っぽな世界を


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