第二十七話 微睡の時。
この三週間は本当に濃かった。
学校が始まってしばらく経ったから授業も本格化しているし、部活も三年最後の大会に向けて作曲と練習に励んでいる。
それに、休日は淡藤の家でデートすることが多い。
と言うか付き合ってから毎週お呼ばれしている。
我儘を言えばもっといろんなところにデートに行ったりしたいけど、でも家に行って部屋に入れてもらうともう淡藤は顔を赤らめてモジモジしてる。
こんなことされたらもう外行こうなんて言えない、あのかわいさはもはや暴力だと思う。かわいさの暴力。
「ただいま、はぁー疲れた。」
「おー、おかえりー。」
最近部活にも復帰して
でもな、最近仲良くなったとはいえこういうプライベートなことは聞かない方がいいかもな。
「ねー
「んー?あー、これは同時押しするとできる。」
やっぱ妹とゲームの話できるのって楽しいな。
悩んでそうなのは今度淡藤に聞いておいてもらおう。
翌朝、思いっきり平日なのに寝坊した。
淡藤に誘われて電話して終わったのが午前二時だった、愛されてるのも考えものだなぁ。えへへ。
それはさておき、もう午前の授業終わってるけど行かないとなぁ。
寝たのが変な時間だったからか体がだるい。
グダグダと自転車を走らせてすぐの
家が近い人ほど遅刻すると僕は思う、危機感がないから。
「うわー人居ないな。……なんか葉っぱめっちゃ緑になったな、これはこれで綺麗。」
この間までは綺麗な桜が咲いてたと思ったんだけど、季節の変化は早いな。
「ついちゃったー。」
うちの学校は遅刻すると職員室に一度遅れてきたことを報告する必要がある。
顔を見たことあるくらいの先生たちに一斉に見られるのはキツい。
でも今の時間だとちょうど担任が授業ないはずだから言うのは楽だ。
まあ他に気が乗らない理由があったりもするんだけど。
「こん、にちはぁ……。
「おー、きたな霞、プリント持ってきたか?」
「っす、書いてないっす。すいませんっ。」
「えー、締め切り金曜だったんだぞ?そんなに重く考えないで行きたいところ全部かきなさい。明日までね、今度は絶対。」
「わかりました。」
週を跨いでさらに一日引き延ばしたのが今日。
進路希望調査のプリントだ。
一応ちゃんと進学校には通っているけどなんとなくできたし、考えないとな。
ーーガラガラガラ。
「あ、紬!、どうしたんだよ午前中、お前が居なかったからペアワーク余った!!!ねえ!」
「寝坊したー。」
「なんでだよぉ、もお。明日からは寝坊すんなよ。」
「気をつけまーす。」
まあ進路は帰ったら考えよっかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます