手品師の秘密
白昼仮睡
第1話 マジシャン
「彼女のマジックは何度見てもすごいなぁ。」
「テレビ番組で特集が組まれた時も全く仕掛けがわからなかったっていうぜ?」
私は、世間では机上の華と呼ばれるマジシャンである。とある船のレクリエーションにおけるマジックショーを依頼され、観客の前で実演をしているところだ。
いつものように準備が整ったところで、私は観客に微笑んだ。
「このようにしてカードから手を離すと、不思議なことにカードの背の色が・・・」
定番のマジック。一瞬のうちにカードの裏面の色が赤い花から青い海に変わる、目にも楽しいマジックだ。
続けてコインが手の中から消失するマジック。その後5つほど披露した後に、ショーの締めくくりとして帽子から鳩を出すマジック。残念ながらアンコールを行うことは会場の日程上できなかったので、去り際に着ていたドレスの中から鳩を4話ほど出しておいた。ファンサービスに応えるのもショービジネスに属する者の務めだ。観客の歓声を聞きながら、私は会場を後にした。
私の名前は鈴木優子。私は嘘つきだ。
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