占い

はんぺん

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 「あなたの運勢は最悪でしょう」

私は、この怪しい空間に来てしまった事を後悔している。ほんの気の迷いで受けた占いだったが、このような結果になってしまうのならば来なければ良かった。占い師は無料で占ってやると言っていたが、この次に来る言葉で予想できる。

「ではそんな最悪な運勢を避けるためにこの坪を…」

ほら来た。埃っぽい、ひび割れたただの坪だ。私は我慢ならずこう言った。

「ふざけるな!こんな坪何に使えって言うんだ!帰らせてもらう」

荷物を持ち帰ろうとする。しかし足が動かなかった。占い師が私の足にしがみついているのだ。占い師は私に懇願した。

「お願いだ。貯金もあと数えるぐらいしかない。この坪を買うだけで誰かが助かると思って…」


 結局五百円ばかり払って坪を貰った。家に帰り、改めて坪を見た。丁寧な事に蓋が取り付けられている。中に何か入っているのだろうか。何も入っていないと薄々思いながら私は蓋をあけた。すると坪からもくもくと煙が溢れだし、私の視界を奪った。手で煙を払い、やっとの思いで目を開けると、そこには異様な風貌をした男が立っていた。

「どうも。私はこの坪に封印されていた魔神です。助けてくれてありがとうございます。お詫びに一つ願いを叶えましょう」

驚きの連発により、見知らぬ男が家に居ることぐらいは気にならなかった。いきなりアラジンにでもなった気分だが、私はそこまで生活が苦ではないし、恋している女性もいない。なによりこの男がただの気違いではないかという事だった。

「君は本当に、その…魔神と言う奴なのかい?」

私がようやく捻りだし考えたこの問いに、あの男は笑いこう言った。

「確かに証拠はないですよね。だからこそ、その証拠を確認するため何でも一つ願いを叶えて差し上げましょう。ほら、早く言って下さい」

やけに急かしてくる魔神に私は慌て、咄嗟に思い付いた願いを口にした。

「私に失敗しない人生を歩ませてくれ」

占い師の「最悪な運勢」に引っ張られたのか、私が出た願いは叶えようもない願いだった。しかし魔神は

「了解しました」

と言い、指先からまた煙を私にかけてきた。煙が晴れると、魔神の姿はなく、坪は粉々に砕けていた。まるで夢のよう…いや、幻でも見たのかも知れない。今は明日に向けて寝るとしよう。私はなかった事にしようと思い、寝た。


 私はあの魔神にあんな願いをした事を後悔している。何故なら、

「あ、そこは歩いてはいけません、ああ近道もしたらいけませんよ。そこは曲がって、真っ直ぐその交番を目印に…」

毎日毎日私に過剰な忠告をしてくる。気が散って仕方ないのだ。

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占い はんぺん @nerimono_2

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