第63話ヒート・オブ・ザ・モーメント
まるで抜け殻のようだ。
まともに前を見て歩けない。
神奈子を失ったショックが後からジャブのように効いてくる。
教室の中を見回しても皆んなしゃにむに勉強してる。
神奈子と別れてから勉強には手がつかない。
「あしたのジョー」のように真っ白に燃え尽きたと言うわけではないが……。
なんか現実に醒めてしまった。
中間テストまで1週間ない。
このままでは最下位になるだろう。
スマホを取り出すわけでもなく、やる気が起きない。
昼休みに神奈子と細身の男子が一緒に笑い合ってる所を見てしまった。
自業自得というやつか。
“今頃君は誰かの腕の中”
神奈子は立ち直ってるのか。
俺はあかんね。
スマホで延々とボブ・ディランの「血の轍」を聴いてる。
ひたすらボーっと。
「先輩、どうしたんですか?目が虚ろですよ」
同じC組の東海林公太である。
「そう?そう見えるかやっぱ……」
彼はC組の学級委員だ。
「元気出してくださいよ、テストも近いし」
それを言われると辛い。
無気力になって抜け殻になってる北雄を影で五宮フレイユが陰で見守っていた。
もちろん北雄には預かり知らぬことだ。
2021(R3)10/5(火)
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