第56話午前2時の放蕩地帯
「坊や元気だった?」
「依子さんこそどうしてたんですか?」
ふふっと大先生は笑う。
「どうするもこうするもベッドで寝てるか、ホールでテレビ見るくらいしかやることないわよ」
「そうなんですか……」
「今テレホンカード使って坊やの電話のかけてる所」
「まだ退院出来ないんですか?」
「まだ先生からそういう話は出てないわ」
「……」
「外泊とか出来るようになったらまた会えるわよ、坊や」
「……」
「どうして黙ってるの坊や」
「いや、また依子さんを抱きたいなあと思ってました」
「そんなこと言わないで、切なくなるわ、ここそういうことが許されない所だから」
「また会えますよね。俺あなたの声を聞くとホッとします」
「いつになるか分からないけど会えるわよ。坊や、私の愛しい坊や」
電話は切れた。
テレホンカードの度数がなくなったんだろう。
北雄は激しい性欲を感じた。
慌てて家に帰り、自分で処理した。
依子さんを思い出して2回果てた。
落ち着いたBGM を聴きたいので坂本龍一の「ウラBTTB」を流す。
また依子さんと神奈子との板挟みである。
こんなこと考えちゃいけないことだが、このまま依子さんが入院していてくれれば俺は神奈子を大事に出来るわけだ。
こうして依子さんの吐息を聴くだけでノックアウトなんだから。
若さって罪なのかね。
依子さんも充分若いけど。
気晴らしに映画「勝手にしやがれ」を観る。
うとうとから覚めると時計は夜中の2時。
中途半端に寝てしまった。
明日は学校休みか。
久々に学校サボって映画の3本立てとか観たいけど。無理だよね。
2021(R3)9/24(金)
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