第36話マイ・スローリー・タイム

学校を慌て気味に出る。


大先生は喫茶”レノン“で待ってるらしい。


街の外れのある喫茶店である。


大先生といつも入るラブホは目立たない所にある。


ラブホに入るんなら“昼下りの情事”ということになる。


24時間いつでもセックス出来るが最近ほとんどがそればっかでマンネリ化してる。


喫茶“レノン”に着くと大先生は奥の席に座ってる。


相変わらず美しい人だ。


なんで旦那は大先生みたいないい女に飽きたんだろう。疑問だ。


「坊や、今日は気分を変えて映画でも観に行く?」


拍子抜けだったが、たまにはいいだろう。


立川のシネマシティで“ワイルドスピードジェットブレイク”を観る。


頭を空っぽにして観れるアクション映画だ。


上映が終わる頃空は少し暗くなってる。


「たまには気分転換になっていいわね」


大先生も映画を堪能したようだ。


「何か食べに行こうか?」


「なんかいつも奢ってもらってすみません。バイトしてお返ししますから」


「いいの、いいの旦那は私がいくらお金を使おうが気にしてないから」


あの初老の人が大先生の旦那なのか……。確かにそっちの方は引退してるように見えるくらい黄昏た人だったが。


立川駅前の大戸屋で塩サバ定食を食べる。


大先生と居るとなんか、あうんの呼吸で疲れない。


神奈子と居る時も癒されるが、大先生と一緒に居る時はそれプラス少し包容力を感じる。


やはり大人の女性だよな。


妙に背伸びしたくなる。


午後7時に大先生と散開する。


今日はそっちはなしという暗黙の了解である。


俺は溜め息を一つ付き夕焼けの立川を後にする。


2021(R3)8/31(火)















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る