第19話サスペンショナル・サマー

業者テストはやたら難しかった。


期末テストは98人中80位だったが、今回は80位以内は無理だろう。


神奈子からLINE でたまにはお茶でもしようと誘ってくる。


あいつとも付き合って2年ちょいか。


今日辺りラブホでも行って一発かましたいところだが、そんなお金はない。


最後はいつだっけ?もう覚えてない。


あん時は確かお年玉でラブホ代が出たんだった。


俺もなんかバイトしようかな。


お金がないと身動き取れない。




駅前のスタバで待ってると神奈子がセーラー服のまま来る。


おかわりレシート渡して、神奈子はレジに向かう。


しかし梅雨が明けてからやたらと暑くなった。


神奈子ととりとめない会話をしてるが、天から見上げるもう1人の自分がいる。


数ヶ月前からそういう感覚を感じるようになった。


あと中3の15歳くらいに自意識過剰になり始め、最近まで続いていたがいつの間にか克服していた。


酒が飲めるまであと2年。


このまま無事に卒業する頃ハタチになってるのか。


神奈子は大学進学だが、俺は大学は行かんな。


親父の稼ぎも減ってるし、お袋もお水の商売は相当きついし、やめると言ってる。


「なんかボーッとしてるけど、どうしたの?」


「いや、そういやお前は大学卒業したらやりたい仕事とかあるの?」


神奈子は右上に目を向けて少し考えてる。


「う〜ん、まだ漠然としたイメージなんだけど、服飾デザイナーとかかな」


「俺は清掃業かな。頭使う仕事は向かない」


「北雄に嫁ぐと苦労しそうだな」


「俺が先に社会に出るからね。苦労かけるのかね」


「学生結婚か、考えたこともない」


神奈子はそう言ってアイスコーヒーをすする。


神奈子と結婚すると色々人生設計しなきゃならんのか。


色々結婚の実用書も読んだが、頭で考えるより行動に移れということなんだろう。


もうちょっと勉強の時間増やしますか。今は勉強するのが俺の仕事だし。


「二学期の中間テスト順位上がったらなんか褒美くれる?」


「じゃあ98位中50位以内なら叶えてあげる」


「そいつはハードル高い。B組に移れるじゃんか」


「あたしが教えてあげるよ。どうせ数学なんでしょ」


神奈子は頬杖をついて微笑む。


なんかこいつの笑顔には癒される。まあ美形と言えるが、有村架純に近いな。


そうか似てないけど有村架純と雰囲気がそっくりだ。


いい嫁さんになりそうだ。


それから夕方までスタバでだべっていた。


夏休みまでもう少し。


2021(R3)8/6(金)











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