第182話 三回目のHappy Halloween


 十月も最終日。今日はハッピーハロウィンです。

 晴さんと過ごす三回目のハロウィン。

 去年も一昨年も……沢山悪戯されて……幸せな、文字通りなハッピーハロウィンでした。


 これから先、何十回共に過ごせるかは分からないけれど……ハロウィンなんて名前が付けられた特別な日だから……その一回一回を大切に抱きしめて…………晴さんと過ごせていけたら良いな。


「かぼちゃのグラタン美味しかったね。ありがと、雫」


「ふふっ、今時分らしい献立に出来て良かったです」


 街に出れば出迎えるハロウィンの装飾達。真似をして、小さなカボチャをくり抜いて顔を作りグラタンに飾り添えた。

 机には蝋燭を置き、それらしい雰囲気になっているだろうか……

 今年も悪戯される側なのかな……?だとしたら、このまま待っていた方が良いのかもしれない。

 気がつけば、耳まで熱くなり始めていた。


 ◇  ◇  ◇  ◇


 はい。というわけであと五分で日付が変わってしまいます。

 ど、どうしよう……もしかして晴さん忘れちゃってるのかな……でも晴さんはそういうことに敏感だし…………そうだ、一日間違えてるのかも。


 なら明日でも…………でも……例え晴さんが勘違いしていても、私から何もしないのは間違ってる。

 大切な……私達のハロウィンなんだから。 


「は、晴さん……その……きょ、今日はハロウィンでして…………い、悪戯して……くれませんか……?」


 焼けるように顔が熱くなっている。

 目を見開いたあなたと目が合い、手を伸ばした瞬間……鳩時計、十二時の鐘が鳴った。 


 嗚呼……ハロウィンが終わってしまった…………

 振り返っても仕方が無いし、今日は十一月一日……確か語呂合わせで犬の日だった筈。

 ワンちゃんになりきって可愛がってもらうしか……


「ふふっ、ハッピーハロウィン♪」


「ふぇ……? あ、あの……もう日付が……」


「実はね、時計を一時間早く進めておいたの。だから今は十月三十一日の……午後十一時過ぎだよ? Trick but Treat♪」


「そ、えっ、あ、その…………」


「ほら、ハロウィンは始まったばかりなんだから」


 どこまで読まれていたのか……犬の耳が付いたカチューシャを晴さんに着けられ、晴さんは小さな角が付いたカチューシャを身に着けた。


「さて、イタズラされたい悪い子ちゃん? 一体どんなイタズラを……されたいのかにゃ?」


 開いた口を塞がれて始まったハロウィン。

 悪戯の二重掛け。翌朝まで戯れ事は続いた。

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