第41話 世界一可愛い甘えん坊さん
日向さんは時々甘えん坊さんになる事があります。
今日はそんな日のようです。
「ねぇねぇ」
いつもとは違う、甘い声で擦り寄ってくる日向さん。
愛し過ぎるその姿に、私まで甘くなってしまう。
「はい、なんでしょうか?」
ソファに座る私の膝の上に頭を乗せ、そのまま顔を埋めている。
優しく頭を撫でて、耳元に軽くキスをした。
見ると両の耳が少しだけ赤らんでいた。
可愛過ぎる……
「その体勢で苦しくありませんか?」
「苦しいほど好きだからこのままでいい」
言葉を超えた想いが溢れる。
上半身を前に倒し、私全体で日向さんを包み込む。
「それじゃあ苦しいでしょ?」
「一緒がいいんです」
このまま溶けて一つになってしまいそうで、それでも構わない程、私の中は日向さんで溢れている。
「ねぇ、私のどこが好き?」
少しだけ高い声。
それは雛鳥の声を聞き分ける親鳥の様に、私だけが聞き取れる恋人の声色。
どんな意味かも、私だけが知っている。
「全て好きですよ?」
その言葉では物足りない様子で、顔を擦り寄せて甘えてくる。
堪らず私も抱きしめる。
「ふふっ、足りないんですか?」
「うん……もっと頂戴」
「……では寝室に行きましょうか」
何をする訳ではなく、素肌で抱き合う。
鼓動、息遣い、体温、匂い……
共有している内に一つになった感覚がして、私達はそのまま眠りについた。
◇ ◇ ◇
「おはよ、雫」
「日向しゃん……」
頭が上手く回らない寝起き、私の胸に日向さんが飛び込んできた。
優しく抱きしめて頭を撫でる。
「雫……大好き」
「ふふっ……私のどこが好きなんですか?」
聞かなくても、分かる言葉。
私だって全部好きなんですよ?
「ぜーんぶ好き♪」
世界一可愛い甘えん坊さん。
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