② 料理の腕前

お題編 料理の腕前


 

 今日は週に一度、彼女が家に遊びに来る日だ。


 ボクはわくわくしながら彼女を待っている。




 呼び鈴が鳴ってドアを開けると、そこには愛しの彼女が立っていた。


 両腕にはいっぱい食材が入ったレジ袋を提げている。




「お待たせ! 今日は関川君に美味しいものをいっぱい食べさせてあげるからね!」




 満面の笑みでそう言いながら部屋に入って来る。




 しかし、ボクの笑顔はひきつっていた。


 何故なら、彼女は絶望的に料理が下手だったからだ。




 部屋に上がるなり早々に台所へ向かう彼女。


 このままではきっと絶望的な料理の数々が出来上がってしまう。




「腕によりをかけて作るからね! 期待して待っててね!」




 台所から聞こえてくる彼女の張り切った声。


 こんなにもボクを思ってくれる彼女の手料理。




 それは分かっている。頭では分かっているのだ。


 だが体が、味覚が、ついてこないのだ!




 彼女に料理を作らせるべきか否か。


 突き付けられた難しい二択。




 ボクは彼女を阻止すべきなんだろうか?


 ここは男らしくガッツリ食べるべきだろうか?




 自問自答しながら台所へと向かう僕の足取りは重かった…… 

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