スキル『精霊王の加護』を持った俺、追放されてしまう。精霊の加護がなくなり、レベルも魔法もスキルもなくなって路頭に迷ったから戻ってこい? 俺だけ精霊に慕われて最高に幸せなので君は野たれ死んでてくれ
【勇者SIDE】卑劣な手段を用いつつも剣聖に惨敗する
【勇者SIDE】卑劣な手段を用いつつも剣聖に惨敗する
「へっ! いくぜ! 剣聖レイア! 正々堂々と勝負だぜ!」
勇者シドは剣聖レイアに襲い掛かる。
キィン! シドの剣とレイアの剣が激しくぶつかり合い、けたたましい音がした。
「何が正々堂々だ! 卑劣な手段で人のLVを下げておいて!」
「へっ! 俺様はな! 勝てない喧嘩はしない主義なんだよ!」
鬼のような形相でシドはレイアに襲い掛かる。
「くっ!」
キィン。レベルを失ったレイアはかつての剣の切れ味を失っていた。攻撃力や俊敏性が大きく低下していたからである。
パラメーターだけでいうなら、レべルの50のシドに分があった。だが、レイアには培った剣の技と、そして頼れる聖剣があった。そう、氷属性最強の剣である『アイシクル・ブレイド』をレイアは装備しているのである。
「おらよっ!」
シドは足を引っかけ、レイアを転ばせた。
「ちっ! このゲス勇者が!」
レイアは吐き捨てる。
「へっ! 貰ったぜっ!」
シドは転倒しているレイアに襲い掛かり、とどめを刺そうとした。
しかし。氷剣『アイシクル・ブレイド』には特殊能力があった。ありとあらゆる物を凍結させる能力だ。これは氷系の無効化や抵抗するスキルを覚えていないと、なかなかに対処の難しい、厄介な能力であった。
レイアはその氷剣の能力でシドの足元を氷結させたのである。
ピキィ! 足元が氷結したシドは身動きひとつ取れなくなる。
「く、くそっ! 汚ねぇぞ! こんな手使いやがって!」
「自分が使う時はよくて、相手が細工をしてくると『汚い』と罵るのだな、貴様という男は」
レイアは呆れ果てていた。
「……く、くそっ! ちくしょう! う、動けっ! 動けっ!」
「哀れみすら覚える。なんと滑稽な男だ。私自らの手で引導を渡してやろう!」
「や、やめろっ! 嫌だっ! 死にたくないっ! 嫌だっ!」
「食らうがいい! 氷剣の一撃を!」
「ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああああああああ!
!」
シドは氷剣で斬られた。そして、一瞬で氷の彫刻となってしまったのだ。
「つまらない男を斬ってしまったな……すまない。我が愛剣よ」
レイアは自らの剣に謝罪をしていた。
「それでは約束通り、私はパーティーを抜けさせて貰う」
レイアは言い残し、勇者シドのパーティーを抜けていった。
三度目の死亡をした勇者シドは、その後蘇生をさせられるが、またもや経験値の大半を失い。レベルが30程度にまで低下したのである。
聖女であるエミリア。魔術師であるルルカ。二人は勇者シドに辟易してきた。
パーティーの崩壊は近いと思われたが、勇者シドはそれを勇者とは思えないような卑劣な手段で回避する事になる。
果てしてその手段とは――一体、なんなのか。
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