第282話 奪われた日常2

そして、1分を経過した頃、そいつは、巨大なエネルギーと共に教室の直立するものすべてと、机の下にもぐるご学友を机ごと、横から蹴られた様に一瞬で吹き飛ばすほどの爆発力を見せ、そのままの巨大な振幅が襲い続けた。


「先生! ヤバいぞ! 外に逃げるか?」


俺がたまらず教壇の下にいるはずの陽葵先生に大声を上げた。しかし、先生の声は聞こえず、聞こえてくるのは、建物が発する地震波にシンクロした今まで聞いたこともない様な、建物自体が楽器になっている工事現場のような音だけだった。


教室は、ご学友達の悲鳴で埋め尽くされている。泣き出す子までいるが、しかし、地震は収まるどころか波の周期を変化させ、振幅は更に大きく感じた。


先生の回答の得られないまま、続く、その30秒後、それは、さらなるエネルギーの開放をした、深度5~6を連続で発生させ、息つく暇なく莫大なエネルギーの開放をした波長は、その時点で、立つことすら困難な状況に俺達を追い込んだ。


本来なら、本震とでも表現すればいいのだろうが、この過程に至る時点で既に震度5強程度の前振を30秒以上、味わっていた俺達からすれば、それはただの恐怖の連鎖でしかなかった。

震度6強から、震度5強をまんべんなく繰り返したそれは、その後、1分程度で震度3まで一旦の収束を見る。

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