3月 卒業

第281話 奪われた日常1

それは、穏やかにやって来た。六時間目が始まってすぐ、算数の授業中だった。


「地震?」


ご学友が天井を見ながら呟いていた。


揺れは小刻みに上下動を繰り返しながらも収まる気配が無かった。この辺りの者は地震には慣れていた。小粒の地震は頻繁にやって来るからだ。


しかし、

それは、小さな上下の微振動から大きく上下に揺れ出したことで、ご学友も訓練の賜物とばかりに机の下に潜り込んで様子を見る。


時間にすれば既に1分近く揺れ続け、更に大きな上下動を伴って収まる気配がない事から、俺は、俺達は机の下でお互いの顔を見ながら、今までにない何かを感じ取り始めていた。

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