第262話 みんなのたたかい6
悔しい……
何で、何で?私は間違ってないのに……
「教頭先生!
私は絶対に引き下がりません!
悪いのは!!
間違っているのはあなたです!!!」
あー、感情的になってしまった。負けだ……
悔しい。私は何も一人で出来なかった。不登校の児童を連れ戻すのも、みんな佐藤さんに助けてもらって………
その助けてもらった佐藤さんを助けられなかった。
私は教頭に悔し涙でぬれた顔を見据えたまま、動かなかった。教頭は口元を緩め、
「もう、よろしいでしょう?
悪いかどうか間違っているかどうかを決めるのはあなたの上司の私なのですから、その私が悪くない間違っていないと言ったら、それはその通りなのですよ」
薄ら笑っている……
悔しい。こんな程度で、引き下がれない。何としても……
佐藤さんを……
みんなを六年一組に戻さなくちゃならない……
それが出来なければ、私は……
この先……
教師などと名のる資格を失う。
それほどに重要な事だ……
どうすればいい……
「教頭先生がおっしゃっているのは只の感情です。先生の嫌悪がそのまま、佐藤さんに向けられているだけです。先生の話にはどれ一つ共感できません。それに教頭先生がおっしゃる他の先生方とはどなたの事ですか!! 私は一度もそんな事聞いたことなどありません!!
むしろ……
むしろ先生方の評判はもの凄く高くて、私よりも、先生らしいって……
陰で言われているのも承知しています……
先生は……
先生が……
先生だけが佐藤さんを嫌悪してこの学校から追いだして、のどの刺さった骨が取れたみたいな、そんな気持ちでいるのでしょうが、先生のしている事は、絶対に! 有ってはならない、独善で!!」
「もういい!!!!!!!!!!! 出て行け!!!!!!!!!!!」
「………………」
「もういい……
お前……
明日から学校に来るな……
それだけの事を言ったのだから……
お前……
覚悟は出来てるんだろうな?」
静寂の訪れた校長室で神経質そうなやせこけた初老のそいつは、私を睨んで低く呟いている。
……覚悟?……
この学校から出て行けとでも?
そんなもの、この部屋のドアの……
ドアノブを廻した時から、とっくに出来ている。
この部屋に来た時から……
あんたと心中するつもりだ……
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