第243話 リリィさん

「けんたろー、元気出して」


バレンタインのイルミネーションが煌めくいつもの水族館でリリィさんに慰められながら、人口海岸のベンチでお話をしている。

満島先生の葬儀も済んで数日たつものの、俺は今一つ気分が晴れずにいた。

先生をお送りした時の余りにも俺の記憶から離れた顔つきで、どれほど苦しかったのかと思ってしまうと気持ちが沈んで、子供に慰めてもらう始末だ。


「けんたろー、今度の休みに、けんたろーの家に遊びに行くから、そのときバレンタインのお祝いしよう。ジュースとお菓子買っていくからね」


何でもいいよ。バレンタインのお祝いって何だよ。


「仕事だから、1時間くらいだよ」


「わかった」


嬉しそうに微笑む完ロリに俺は遠い眼をして答えた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る