第219話 二人の静かな時間5

「何言ってんですか! そんななら、そんな風にからかうなら、もう飲まないでください」


「私はね……

人の好意を餌に、見せかけの愛情を餌に、仕事をしてんだよ。だから、相手が私の事をどういう風に見てるかってのは、とっても重要なんだ。


そうやって、見てみると……


健太郎は、私の事が好き。

違うな……


大好き、そう言ったんだよ」


「もう……やめてください」


「ハハハ、ごめんね。可愛いからさ、私を心配そうな目で見るからさ。


こんな僕ちゃんにまで心配されるなんてって、思ったらね。


なんかね……

いじめたくなった。


だからって、ケンちゃんいじめるのも違うよね、アハハ」


笑っている。今まで遠くを見て、呟くようにしか話さなかったレイアさんが……良い笑顔で、何もなかったように……


良い造り笑顔で笑っている。

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