第216話 二人の静かな時間2
でも、見方を変えると、あの時、母さんがいなくならなかったら、俺は小学校に普通に通って、今は高三になって、来年、大学に行くか働くかってそんな騒ぎをしていたんだと思うんです。
もしもの世界から、今の俺を見れば……
満足できないかもしれない……
出来ないでしょうね。
でも、今、ここに座って、夜景のレストランでレイアさんと過ごす僕は、この世界を満足している。
結局は、どっから見るかなんだと思うんです。
母さんも父さんもいなくなった俺は、親代わりの店長が出来て、店の人達が兄弟で……そうやって、暮らしてきた俺には、満足してないなんて、言えないし、実際、満足しています」
「そうか……
満足できるって、それは……
ケンちゃんは幸せなんだね……
おねえちゃんはうれしい……」
ワイングラスを一度見つめて、また、遠くの夜景に視線を移したレイアさんはため息を小さく一つついた。
「私さ、結婚……断っちゃった……」
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