第120話 未海さん2

なんだ? この表情は秘密を打ち明けますみたいなやつだぞ、もう、ヤな予感しかしないが……リリィさんは自分のアパートへと進む路地で俺に深呼吸したあと、話を継いてきた。


「多分ね……」


もう聞いたよ。


「未海ちゃんが学校こないの私のせい……」


「何で?」


いじめたのか?学校来て1週間で。


「………………」


なに?なぜ、そこで黙る。


もう一度深呼吸した彼女は、


「私のパパが助けた子って未海ちゃんなの……」


俺を見上げて瞳を潤ませる。


海で亡くなったリリィさんのお父さん。子供を助けて代わりに亡くなったって聞いていたけど、それが、まさか未海さんだった?


ちょっと待てよ、いくら何でも、気を使わなさすぎだろ。何で当事者同士がおんなじクラスにいるんだ?どうなってんだ学校!満島先生!


「私、学校に出た日に未海ちゃんに挨拶したら、泣かれたの」


お前も何言ってんだ、今頃それ言うか。


「でも、それだけなんだよ。私、まだ何もしていないよ」


俯くリリィさんは少し困った様子で俺に話をしている。


ダメだ。今度こそ温存兵器の登場だろう、あいつの仕事だよ。

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