第121話 未海さん3

「私ね、頭の中でわかってたの、私が学校に行ったらこうなるんじゃないかって、それもどこかで考えていて、学校に行けない理由の少しになっていたの。でも、それ以上にけんたろーとの約束の方が大切だと思って、行ったんだけど、やっぱり、未海ちゃんはそうなっちゃうんだね」


涙を滲ませるリリィさんは俺に助けを求めている。いや、参った。こんな事になっていたとは、全然知らなかった。


「けんたろー、どうしたらいいの? 私、どうしたらいい?」


急に俺に抱きついて、泣いているリリィさんは少し震えていた。どうしたらいい……か、どうしたらいい?


「リリィさんは、未海さんをどう思っているの?」


「……私は友達と思っていたけど……違うんだろうね」


「そんな……違わないと思うよ。友達だから、余計に辛いんだと思うよ」


「そうなんだね……」


思うに、未海さんはリリィさんに済まない気持ちでいっぱいなのだろう。

それは、理解できる。


それじゃあ、リリィさんはどうなんだろう。おれの腕の中で抱きしめている大切な友は、実際、ほんとのところ、本心でどう思っているのだろう……


どうするか……俺は……

二人共、歳は離れているが大切な友人だと思っている。

俺はこの件にどういう風に関わればいいんだろう。

本音を言えば……関わらないで済むなら、そうしたいくらいにハードな内容だ。


でも、俺にしがみ付いて小さく震える完ロリの縋る視線を見ていると、関係ないからとはとても言えない。かといって、どちらかの味方もしたくない。


そもそも、リリィさんはこのことについてどう考えているんだ?

大切なお父さんを無くしたリリィさんは、亡くなった原因になった未海さんについてどう思っているんだろう?

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