第85話 リリィさんの秘密の場所2

「ここね、実は、私のお気に入りの場所なの。海がまっすぐ前にみえるでしょう。それがいいし、後ろが山で囲まれて誰からも見えないし、静かで波の音が聞こえるし。後は……灯台の灯りと、周りが暗いから星が綺麗に見える。最高と思わない?」


「本当だね。こんな素敵なとこにお招きいただいてありがとうございます」


俺は大仰に答えて、嬉しそうに微笑むリリィさんの表情を想像し、彼女の顔に視線を移すと……表情を無くして俺を見つめていた。


「どうした?」


「……ねぇ、佐藤君。なんで、私に親切にするの?」


リリィさんは一呼吸して、


「学校に行かせたいの?」


「いや、それは、正直、二の次だよ。一緒に学校に行ってもらえればそれは嬉しいけど……今は、あんまり関係ない」


「じゃあ、なんで?」


険しい表情を俺に見せる。どうしたんだ?


「ねぇ、あんまり、私に優しくしないで……」


リリィさんの瞳が潤んでいる。

……涙が……涙があふれてくる。

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