第67話 可愛いリリィさん1

「リリィさん、こっちですよ」


俺は、ホテルのロビーでリリィさんの到着を待ちわびていた。


薄いブルーのワンピースに夏っぽいサンダルを合わせ、大人っぽいショルダーを下げてやって来た。俺に気付いたリリィさんは軽く手を上げると、近づいて、


「佐藤君、今日はありがとう。楽しみ!」


と言って、嬉しそうに笑顔を見せた。


「リリィさん、可愛い」


思わず呟いた。160cmの身長からのAラインのミニワンピースで、すらっとした手足、栗色の背中までのナチュラルウェーブヘア。今日はすこ~しお化粧した?お人形さんみたい。まずい。この子12歳だよ。将来どうなってしまうんだ。


「お母さんは?」


「今日は、用事があってこれないって、だから、わたし一人なの。ごめんなさいね、せっかく誘ってくれたのに」


そうなんだ。


「会場はこっちだよ、行こう」


大きなシャンデリアが天井から下がるホテルのキラキラしたロビーを嬉しそうに見上げながら、俺は大人なリリィさんをエスコートして行った。

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