第24話 眠たくなって

 私とイルディンは、ベッドの上で懐かしい本について語り合っていた。

 このように語り合うのは久し振りである。そのため、かなり盛り上がっていたといえるだろう。


「ふぁ……」

「ふぅ……」


 ただ、しばらく話した後、私達の熱は少し冷めてきていた。

 だんだんと眠気が襲ってきたのである。

 しかし、これはいいことだ。私達は、元々眠るために語り合っていたのである。眠くなったことは、喜ばしことだろう。


「イルディン、そろそろ寝る?」

「そうだね……そうしようか」


 という訳で、私達はそろそろ寝ることにした。

 結構時間は経っている気がするが、今から寝ても充分睡眠はとれるだろう。


「それじゃあ、本は机に置いておきましょうか。書庫に返しに行くのは、明日でいいわよね?」

「まあ、そうだね……」


 私とイルディンは、本を部屋の机の上に置く。今から書庫に返しに行くのは、正直面倒である。別に明日返しに行けばいいので、何も問題はない。


「さて、明かりを消すわね?」

「え? あ、うん……」


 本を置いた後、私は部屋の明かりを消した。

 なんだか、イルディンが困惑している気がするが、どうかしたのだろうか。

 そう思いながら、私は弟の元に戻る。暗い中でもわかるくらい、イルディンはそわそわしている。やはり、何かあったようだ。


「イルディン? どうかしたの?」

「あ、いや、僕は自分の部屋に戻らないといけないと思って……」

「え? ああ、そういうことね」


 イルディンが困惑していたのは、自室に戻らないといけないと思っていたからのようである。

 眠気で少し抜けていたが、この年になって一緒に眠るのは少し恥ずかしいかもしれない。自室に戻りたいと思うのは当然のことである。


「……一緒に寝ない?」

「え?」

「イルディンが傍にいてくれると、安心できると思うの」


 しかし、私は弟と一緒に眠りたいと思っていた。

 正直、イルディンが傍にいてくれると安心できる。一緒に寝てくれれば、嫌なことを思い出さずに済むだろう。それなら、きっと安眠できるはずだ。


「……」

「イルディン?」


 私の言葉に、イルディンは固まっていた。

 流石に、この提案は少し子供っぽかっただろうか。優しい弟とはいえ、これは恥ずかしいのかもしれない。

 ただ、今の私にはそれくらい安心感が欲しかった。子供っぽいと思われてもいいので、一緒に寝てもらいたいのだ。


「……し、仕方ない。それなら、一緒に寝ようか」

「ありがとう、イルディン」


 最終的に、イルディンは私の提案を受け入れてくれた。

 やはり、愛するべき弟はとても優しい。本当に、イルディンには感謝の気持ちでいっぱいである。

 こうして、私はイルディンと一緒に眠ることになった。きっと、安眠できるはずだろう。

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