第14話 捜査の目
私とイルディンは、お父様からガルビム様が毒を盛られたという話を聞いていた。
命は助かったようだが、それは大事件である。公爵家の令息が殺されかけたのだ。王国もかなり念入りに調査していることだろう。
そこまで理解して、お父様の歯切れが何故悪かったか気づいた。確かに、これは私達にも大いに関係あることである。
「もしかして、私達も捜査されるということですか?」
「……ああ、恐らくそうなるだろう。婚約破棄したとはいえ、我々とガルビム様の関係は深かった。調査の手が及ぶことは、充分考えられる」
ガルビム様の事件は、私達に大いに関わることだった。
元婚約者である私はもちろん、ラガンデ家はガルビム様に深く関わっていた。そんな私達に捜査の目が向けられるのは、当然のことである。
「特に、アルメネアは疑いの目を向けられるだろう。何しろ、浮気して婚約破棄をした後だ。動機としては、充分考えられるだろう」
「確かに、そうですね……」
「最も、それは私やイルディンでも同じだ。アルネメアを思って、復讐するという可能性は、考慮されることだろう」
厄介なことに、私達には動機があった。
浮気された恨み。浮気された家族の復讐。犯行する動機は、いくらでもあるだろう。
いくらそんな恨みが私達になくても、疑念は避けられない。重要な容疑者ということになるだろう。
「今回の調査は、王国の騎士団が行う。愚か者ばかりではないが、中には強引な者もいる。充分に覚悟しておかなければならないだろう」
「そうですね……」
騎士団は、王国の治安を守るための組織だ。何か事件があれば、基本的には彼等が動くことになっている。
基本的に、正義感が強く誠実な人間が騎士団には多い。だが、中には強引な決めつけや手段で捜査する騎士もいるようだ。そういう人が調査に来ると、色々と厄介である。
もしかしたら、これから色々と大変なことになるかもしれない。正しい判断ができる騎士が、捜査してくれればいいのだが。
「大丈夫、僕達は何もしていない。だから、堂々としていればいいだけさ」
「イルディン……」
「うむ。まあ、その通りではあるな」
不安になっていた私やお父様に対して、イルディンは堂々と言ってきた。
確かに、私達は何もしていない。堂々とそう言えばいいだけである。
それが通らない人が捜査していても、他の正しい騎士達が真犯人を見つけてくれるだろう。そこまで、心配する必要はないはずである。堂々と、騎士達にも対応すればいいのだ。
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