第25話
魔導自動車の旅も楽しいけど、やぁーっぱり長時間の移動は体に悪い。
日本基準ではなくユーラシア大陸の移動ぐらいの感覚で移動するから国と国との距離が凄く、凄く離れている。
馬車のローカルルールはあるけど魔導自動車の道路交通法は今の時代にはない…… 古代にはあったのかもしれないけど知らない。
時速150キロ[マイルだと93.2]ぐらいで一日中カッ飛ばすけど大陸が広すぎて全く次の町や国が見えない。
夜も走りたいとスピード狂になった
1日1軒を目標に荒野にストレージから豪邸を出して楽しみながら休んでいるのだ!
金稼ぐ必要がない理由の一つだね!
地球時代の日本人オッサンの時の体なら、羨(うらや)ましすぎて夜に手酌で酒を呷(あお)っていただろう。
という訳(ワケ)で我が家の面々は今、取り出したる豪邸でプールのようなお風呂に入った後で豪邸の談話室(サロン)で寛(くつろ)いでいる。
もちろん俺がお酒を飲むのは止められた。
「シュワシュワのジュース美味しい!」
喜ぶ
…… 大人組はワイン飲んでやがる。羨ましい……
「しかし…… 水が貴重な北の大地で風呂に入れるとはのぅ…… 」
「こんなに豪華な旅をして旅費や他国に生活する費用は大丈夫なのじゃろうか?」
段々と生活不安がでてきて暗くなる爺ちゃん達。
そうだなぁ…… 異世界物や地球の歴史とか考えると金銭が理由の裏切りとかあるし…… 生活苦とかそんなめんどくさいのは排除しとこう!
「てなわけで!第一回!家族全員に生活費を渡します大会───────────!!」
俺のいきなりの大声にビクッとなる爺ちゃん達。
「息子(ロックマン)よ、ヒロキは何を言っとるんじゃ…… !?」
「うむ、ヒロキはよくこうなる」
「ねー、アタイはもうなれたわよ!」
相変わらずひどいなぁ…… みんなのためよ?これ?
困惑する爺ちゃん達に御約束の金銀財宝をストレージから大量に出して見せて
「お金の心配は要らないから無理に働いたり、強欲に走るなら事前に言ってね!不安や欲が吹っ飛ぶぐらいに、いっぱいお金あげるから!」
と宣言すると鼎(かなえ)の沸(わ)くが如(ごと)し爺ちゃん達は騒ぎ出した。
はいはい、と癇(かん)が高(たか)ぶる子供のように騒ぐ爺ちゃん達と呆れる
「な…… なんじゃ?マジックバック?」
「まて、これは国宝級の容量があるマジックバックではないか…… 帝国城の地下宝物庫で見た物と同じかそれ以上!?」
へー
とにかく落ち着け!と止めてからお金やら金塊やら宝石やらを好きなだけ収納させた。
「あ、まだ1国分くらいの国家予算ぐらいなんで!欲しいなら追加するから裏切らないでね!」
え?息子家族にも送金したい?はいはい、マジックバックと金貨を追加で出しますねー。次の国で冒険者にでも依頼してロームン帝国にいる家族に送ってあげてね!
「む、労銀(ろうぎん)意外での、おこづかいを貰うのは子供の時以来であるな」
「そういえば
「む?メンゴ?…… まぁ、私は妹の探索にしかお金を使わなかったのであるから、今まで必要としなかったのであるが」
ありがとう。と頭を下げる
そういうのはいいから。と、この異世界の金をピンハネしてるだけだからと心が痛む俺の頭下げ合戦が今はじまる……
「ははは…… ワシらが汗を流して老齢になるまで頑張って稼いだものより数百倍の価値の物を一瞬で手に入れてしもうた」
「じゃな…… もう、お金とはなんなのか…… とか青臭い哲学を考えてしもうとる自分に苦笑するわい」
「あの、ヒロキ…… 少しだけ立ち寄る町や都市の教会への寄付はして良いじゃろうか?」
恐る恐ると聞いてくる
どの世界でも汚職とかあるんだねぇ…… やだやだ。
「欲しかった魔道具が千単位で買えてしまうわい…… え?欲しかったら買わなくてもくれる?ヒロキ、なら何故、金を渡すのじゃ…… 」
物欲を満たす為に、とりあえず
お金は人の心を豊かで余裕のあるものにする…… プライスレス……
俺は腕を組みながら頷(うなず)き、成金ぽいけど家族孝行できて良かったなぁと自己満足に脳内麻薬がドバドバと溢れていたのだった。
あー、お姉ちゃんに貢ぎたいなぁ!ええカッコしたいなぁー!
え?アタイはヒロキの子供が欲しい?
子供が子供を産んじゃダメ!
─────────翌日
魔導自動車に乗る前に全員にフィジカルブーストのスクロールを渡していく。
次の国に行ってからスクロールの習得を詰めようと思っていたけど、いざ今日もドライブ!と思ったら地球で観たニュースを思い出したんだよね……
「えっと、車に乗り続けるとエコノミー症候群という病気になる可能性があるからとりあえず[
長時間、同じ姿勢だからね年寄りには危険だよねー!
[
身体強化とは別のスキル
血中の不純物を綺麗にする
血中魔力の循環も促す為、アンチエイジングの機能も
よっこらせっと俺と
熟練度[8]ぐらいで十分だろう。
「…… 息子よ…… 」
「む、なんであるか?
「ヒロはいつも…… こう、なのかなぁ?この
「うむ、だいたいこんな感じである。常識は通用しないので諦めるが吉で、ある」
そっかー。って爺ちゃん達は諦めてスクロールを習得していく。
えっとね、残念な子を見る目でこっち見ないでくれませんかねぇ…… ?
「ヒロ、この魔法はなぁに?[鑑定]で読んでもアタイには良く分からないわ」
自分の手を見て目をパチパチする
「えっとね簡単に言えば体を流れる血をサラサラキラキラにして、ついでに年齢を若く保てるし寿命も延びるんじゃないかなー?的な魔法だよ?」
「ホント!?ヒロ!嬉しい!」
バキバキバキバキバキ─────!
「む、今回のこれはマズイのである」
「り、リーナちゃん!止めるんじゃ!」
肩甲骨と両腕が折れて気絶する俺。
意識が薄れゆくなか見たのは
そんなに嬉しいのか…… よ…… よかった…… な。はよ回復魔法を…… 。
────────────── アタイの名はリーナリア。
お母ちゃんがエルフ・お父ちゃんがビッグフットのハーフなの。
貴族に性奴隷にされて殺される前にロックマン父ちゃんとヒロに助けてもらったの。
性的な事はされなかったわよ!されていたら…… 笑って生きられなかったかも……
ヒロに会った時、お母ちゃんが言った事が雷みたいにピカピカとして思い出した。
「アナタは私の子、好きになるのは一緒かもしれないわね」
ヒロがアタイを見て
アタイがヒロを見る
これだけで嬉しい
これだけで楽しい
これが好きなんだってすぐに分かった。
アタイはヒロに内緒にしている事がある。
アタイはビッグフットの父ちゃんに似ている。顔じゃないよ?生き物としての大事な部分。
お母ちゃんとお父ちゃんは泣いて謝ってくれた大切な部分。
それもアタイを誘拐した貴族が気に入っていた
ビッグフットは種族的に短命。
だから父ちゃんは世界を見たいと旅をした
だからお母ちゃんはそんな父ちゃんを見守ろうとした
アタイは…… 父ちゃんと同じ。
精霊がアタイへの加護を切り捨てた理由でもあるの。
「この子は早く死ぬわ!だって寿命が短いもの!あはははは!この子はエルフじゃないわ!加護はあげない!」
そう…… 産まれた時に精霊に言われたらしい。
「酷な話をするわごめんリーナ…… でも幸せを掴むには人より早く、急いで生きる必要があるの」
お母ちゃんは涙を流して、町に私が好きになる男の子はいないかと一緒に出かけてくれた。
アタイって言葉使いは…… 実は初恋の男の子が好きだったマリーが使っていたの。好かれたかったからマネしたっていうのはヒロにはナイショ
…… 町へ外出は、貴族の目にとまるキッカケになっちゃったけど…… ね……
早くヒロとの子を
ヒロとの思い出を次の命に
ヒロは子供を大切にしてくれる。
だってヒロって実は優しいから。
少しだけでも長く、子供を育てたいな。
子供を置いていくアタイをヒロは恨まないかしら?
ヒロったらアナタの子が欲しいって言っても笑ってフラフラ……
早くしないと…… 早く、早く……
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