第3曲 在る日々  

タイトル:「在る日々」 Hakubi  ;作詞 片桐

ジャンル:J-POP 

URL:【 https://www.youtube.com/watch?v=wrOXdy4WpAg 】

曲構成:A/A-B-S//C-S/A


 ボカロが続いたので、ここいらでJ-POPを一つ入れます。


 Hakubiは、京都のロックバンドです。といっても、まだすべての曲を聞いたわけではないです。「夢の続き」は有名な曲ですが、ここでは「在る日々」の方を紹介したいとおもいますね。

  


①曲概要

 前回の「晴天を穿うがつ」と同様、モチベ系の曲ではあると思いますが、あちらが比較的明るめだったのに対して、こちらはかなり重たい感じで歌が始まります。このあたり、歌詞を見ていただければわかります。

 

 最初のAメロの後、事実上のイントロを経て、もう一度Aメロが入ります。

 そこでは「学校」の話が出てきます。その歌詞だけ見ると、学生に向けたものにも見えますが、実は必ずしもそうではなくて、全ての生きる人々に向けられたものであると、私は考えます。PVとあわせてみていただければ、同じようなことを感じるのではないでしょうか。


 少なくとも1番のサビ終わりまではかなり重たい歌詞です。しかしそれが間奏かんそうを越えると変わってくる。

 曲構成の二重スラッシュを入れた部分、あそこで何か気持ちの変化というものを感じさせます。



②死にたくなること

 人間、生きていれば死にたくなることがあると思います。お腹が空いたり眠くなったりするのと同じだと思います。それが三大欲求に連なるとは思いませんが、かれてしまうのは間違いない。


 ただ、大概それは一過性のものでしょう。この文章を打っているときに、今までどんなときにそう思ったか思い出そうとしてみましたが、あまり思い浮かびません。間違いなく、何度か考えたはずなのに、です。

 となると、少なくともその程度だったということでしょう。


 しかし、ある限度を越すと、一過性では済まなくなる。

 そういうときに考えることが、この曲における一番サビまでの歌詞だと思われます。

 

「通り過ぎる鉄のかたまりに吸い寄せられる」

「いっそこのまま死んでしまえたら」


 普通だったら一瞬の気の迷いで済むものが、そうではなくなることがある。

 時間が経っても、そんな気持ちが消えない。

 そう感じてしまった時に、聞いてほしい曲です。


 前回の「晴天を穿つ」の「君」が、もしかしたらこの曲の主人公のような心境だったのかもしれません。Cの部分の歌詞に、注目です。


  

③生きてるそれだけで

「カノープスが落ちる夜」(以下「カノープス」)を聞いてくださった方は、実はあの曲にも似た歌詞があったのに気づくかもしれません。


 しかし、あの曲では「生きてるだけで100点」ということにはやや否定的でした。

「カノープス」は、夢(理想)を持っていた過去の自分との対話だったので、それに対して「生きてるだけでいい」と言ってしまうことは適切ではないかもしれない。


 一方、こちらではまず「生きていること」を再認識することに重点が置かれているのは、言うまでもないでしょう。それは歌詞を見ていただければわかります。

 本当に死にたいと思っている人に対して、「まずは夢を持て」というのは、ハードルが高いことでしょう。まずは、自分が生きていることがどれほど貴重なものか認識すべきだ、ということです。


 また、タイトルも示唆しさ的です。

「在る日々」であって、「或る日々(One day)」ではないのです。つまり、自分が此処ここに存在する日常の意味を、もう一度考えようという意志が感じられます。



""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

 聞いていただければわかりますが、歌いだしの歌詞と歌い終わりの歌詞が対応しています。

「階段を踏み外した」から始まって、「ああ今日も今日が始まる」で終わる部分です。この「階段を」~「今日が始まる」の「~」の部分が変わることで、歌詞の色が変わるのです。

 いわゆるカタルシスが、どのようなものなのかは、是非一聴して感じてください。


 それでは次の曲でお会いしましょう。


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