お嬢様、自分でやります

ウルレア

第1話 お嬢様は大胆に

「お嬢様、起床時間でございます。今日は入学式でしょう。いつもより早いですし、支度をして出ますよ。」


カーテンを開け、ゆいを起こす執事。


「おはよう堅人。高校生活が楽しみね〜」

「そうですね、今日は天気が良いですし。さあ、お嬢様」

「着替えの時間です。」


 私の名前は蓮栽ゆい。国内最高峰の令嬢の私には幼馴染がいます。今もこうして私を起こしにカーテンを開けている物好堅人です。そのうちバレるので先に言っときます。私は堅人が好きです。大好きです。いつもきちんとした身なりで、私のことを起こして甲斐甲斐しく世話をしてくれる彼に好意を持つのは当たり前だと思います。なんなら誰でも堅人に惚れます。彼は蓮栽家に仕える執事の家系の者です。そのため、本来ならば彼に好意を持ってはいけないのです。本来ならば、、、。


私の両親は堅人を推しています。母は

「堅人くん?オケ♡」

と割と軽く。父なんか

「堅人くんほどいい子はいないよw逆に堅人くん以外に娘はやらん。ゆい、お父さんなーんでも協力するからね♡!」

といった具合です。


 でも最大の問題は堅人にあるのです。堅人は私の要望により私関係の仕事を全て担当しています。そう“全て”



 −高校生になったゆいはどう堅人を振り向かせるか考えていた。-


「お母様、堅人はどうしたら私を意識してくれるのかしら」

「色仕掛けしかないでしょう♡!」


といい、大人っぽい下着を揃える母。よし、今日こそは意識させてみせる!


「堅人」

「なんでしょうお嬢様」

「今度から私の着替えも手伝いなさい。」

ふふーん、どう?これは流石の堅人もうろたe

「かしこまりました。」

かしこまっちゃった。ちょっとは意識しなさいよ!そんなに、私に興味がないって言うんですか?

「お嬢様、それでは着替えの際の侍女はどうなさいますか?よろしければ該当の時間は暇を与えますがよろしいでしょうか?」

「え、ええ。大丈夫よ、そうしてちょうだい。それよりも貴方は大丈夫なの?私の世話ばかりであまりにも激務ではなくて?」

「これしきの職務、なんの害もありません。寧ろ以前より効率が良いかと。」

「そ、そう。では、明日から宜しく頼むわ」

堅人にはなんの影響も無さそうねぇ がっかり。なんだか今から恥ずかしくなってきたわ。はっ!今日着ている下着は大丈夫かしら。





 「お嬢様、起床時間でございます。今日は入学式でしょう。いつもより早いですし、支度をして出ますよ。」

カーテンを開け、ゆいを起こす堅人。

「おはよう堅人。高校生活が楽しみね〜」

「そうですね、今日は天気が良いですし。さあ、お嬢様」

「着替えの時間です。」

ほえ?!はああっそうだった!今日から堅人が着替えさせてくれるんだったわ!どうしよう、まだ心の準備が、、、

「お嬢様、どうなさいました?もしや、無理をなさっていませんか?」

「いえっ!さ、さあ早く着替えて学校へいくわよ。」

「左様でございますか。では、上から失礼します。」


私がこんなに恥ずかしい思いをしてるんだから少しはドキドキしなさい!頬を赤らめながら上を脱がされている時、反応を窺おうと堅人の顔を覗き込むと、さらに赤く火照る。しかし、なんとなくいつもの目つきの悪さが際立つように見えた。いつもと何かが違う?


「お嬢様、お尻を少しお上げ下さい」

「っ!!」


 あー、恥ずかしかった。お母様に頼った私が馬鹿だったのかしら。でも、一歩前進してるといいな。それにしても、よく私に触れることなく着替えさせられたわよね。初めてにしては手際が良すぎるというか、、、まさか、女性の着替えは経験済み!?あの様子ならなくもない!胸の奥に何がモヤッとしたものを感じた。


 家族3人で朝食を済ませ、学校に登校する。今日は入学式なので両親も一緒だ。助手席に堅人が座っている。

「それでは今日のご予定を確認します。」

仕事が増えたというのにこの人は、どうしてこうも完璧なのであろう。熱心にそして、丁寧に今日の予定を説明している堅人を見て頬を赤らめてしまい、隠すように外を眺める。


「、、、さま。、、、ょう様。お嬢様!」

「はいっ!」

「今日はお嬢様は答辞を述べます。原稿は先日考えていたものから変更はありません。」

「どうしたのかな、ゆい。どこか具合でも悪いのかい?」

「いえそんなことありませんわ。ただちょっと浮かれてただけですよ。」

「そうかい、それならいいのだが。」

堅人に惚れ直してたから話を聞きそびれたなんて言いづらいわ。

「以上です。何かあれば私がサポートいたしますのでご安心ください。それでは、お嬢様初登校行ってらっしゃいませ。」

車のドアを開きながら堅人はそう言う。

いってらっしゃいませって、貴方もくるのよ。


「ありがとう。それでは、一緒に登校しましょう!」

「ですが、お嬢さ」

「し・ま・しょ・う」

「かしこまりました。では、お言葉に甘えて。」

「エスコートしなさい」

「かしこまりました。腕をこちらへ。」

なになにっ!早速うまくいってるじゃない!案外やるわね私!それにしても堅人大きいわね。確か身長180センチピッタリって言ってたわね。私よりも21センチも高い。私もせめてあと1センチ、160台に乗りたい!


「うわっ!」

そんなことを考えていると前に階段があることに気がつかずつまづいてしまう。すかさず、堅人がお嬢様の肩を抱える。

「お嬢様。いつもの調子ではいけませんよ。とにかく家に帰るまでは集中していただきませんと。」

「も、勿論よ。」

はわわわ、堅人すごく力強かったわ。鼓動が高鳴って周りの音が聞こえない。ドキドキしてる心臓の音が堅人にも聞こえてしまうかもしれないと思うと、頬と耳が赤くなって仕方がなかった。

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