また会おうね
勝利だギューちゃん
第1話
私が高校生の頃、クラスに男の子がいた。
共学だったので、当たり前だが彼はどこか違っていた。
他の子と交わる事もなく、いつも一人でいた。
最初の頃は、彼に声をかけていた子たちも、もうあきらめているようだ。
同性である男の子がそうなので、異性になる女の子はなおのこと。
でも、私も意地になる。
私は構わず、彼に声をかけていた。
いつも、にわか返事しかしてくれない。
彼はノートにいつも何かを書いている。
私はそれを見せてもらった事がある。
「どうして見せてくれたの?」
「気まぐれ」
「これは、何?」
「・・・見ての通り・・・」
これは・・・
象形文字?
「なんて書いてあるの?教えて」
彼は答えてくれなかった。
私は次のページを見ると、そこにはイラストが描かれていた。
とても、かわいい。
「かわいいね。この子たち」
「かわいいは、女の口癖だから・・・」
彼の言うことは、当たっている。
特に年ごろの女の子は、よく「かわいい」を口にする。
それ以降は、彼と言葉を交わすことはなかった。
相変わらず、彼はひとりでいる。
まるで、背景のように・・・
時は経ち、私は考古学者になった。
ある古代遺跡で、象形文字に触れる機会も多くなる。
学ぶうちに、その象形文字をなんと読むのか、解読できるようになった。
そしてふと、あの彼の事を思い出した。
実は気になり、あの彼のノートにあった象形文字を書き留めておいたのだ。
そして、まさかと思い読んでみた。
すると・・・
「待ったよ」
「待たせてごめんね」
「来てくれると思ったよ」
「信じてくれてたんだ」
「まあね」
「ねえ、君は何者なの?」
「僕は古代人」
私は知らない。
古代には、今よりも進化した文明があったことを。
そして、ほろぶ。
その繰り返した。
「あのノートに描かれていたキャラクターは?」
「あの子たちは、僕の時代の生物」
生物も滅んでは生まれる。
私たちの知らない生物もいるかもしれない。
「また会える?」
「うん。先の未来で・・・」
私たちが生きている世界もいつか滅び、またあらたな世界が生まれる。
その時は、彼と共に生きたい。
また会おうね 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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