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文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る

 地表でのわれわれの活動に関する事柄については、この数千年を通じていろいろとわかってきた。

 しかし宇宙や目に見えないミクロの世界で起きている事柄については、まだまだ謎だらけである。

 この「神からの宿題」にわれわれは取り組んでいるわけだが、ぼやぼやしていると解けぬままに滅んでしまう可能性もある。

 逆に言えば、その謎を解き明かすことが人類永続の条件かもしれない。

 さてわれわれはどこへ、どこまで行けるのだろうか。


 われわれがこれからどこへ行くのかはよくわからない。

 ではどこから来たのかが分かっているのかというと、それもおぼつかない。

 松原隆彦さんの「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」(山と渓谷社)によれば二説あるそうだ。

 一つ目は地球で有機物から生命がうまれ、ヒトに進化したという説。

 二つ目は宇宙空間から生命のもとが地球にふりそそぎ、その果てにヒトが生まれたという説。

 昔は一つ目が有力であったが、それでは地球の誕生から生命ができるまでの期間が短すぎるため、二つ目の支持者が増えている。


 われわれがどこから来てどこへ行くのかはわからない。

 種としていつか滅びの日が来るのか。何らかの方法で永続的な存在になるのか。

 すぐに滅びてしまう可能性のあるわれわれに対して、ミクロの世界で物質を形作っているクォークは、われわれの想像を超えた変動が起きない限り、消えてしまうことはない。

 ヒトの死体は最終的に分子・原子のレベルでバラバラになる。

 その原子はほかの原子に移り変わって行き、最終的には鉄の原子へ落ち着く。

 しかし、その原子を形作っているクォークは常に不変である。

 どこからかやってきたクォークが集まり、私という意識を持った存在を形作る。

 そして、その死とともにまた散り散りとなる。

 転生という比喩が不似合いではない現象が、われわれの世界では起きている。


 もっと単純にわれわれの世界を見てしまえば、この宇宙はクォークが離合集散を繰り返しているだけの世界、有だが無と変わらない空間だ。

 クォークの塊でしかない私を他のクォークの塊から分けているのが意識である。


 紹介した本を、アマゾンのプライム・リーディングで私は読んだ。

 いまはキンドル・アンリミテッドで読めるが、期限は不明。

 「文系」でも最後まで読めたが、量子論はお手上げで、神話を読んでいるときとおなじ感覚に襲われた。

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