J.L.ボルヘス

J.L.ボルヘス「続審問」

 南国では、落ちてきたココナッツのせいで死ぬ人が結構いるそうだ。

 個人的にはわるい死に方ではないと思う。

 ワシの落としたカメが当たって死んだのは、アイスキュロス。古代ギリシアの悲劇詩人。


 自分で穴を開けたココナッツ・ジュースを飲みながら、J.L.ボルヘスの「続審問」を読み終えた。

 訳者は中村健二さん。岩波文庫から出ている。

 読んでいて連想したことを以下に記す。


 わたしたちはなぜ存在しているのか。

 この問題が解けない限り、我々の口から出る言葉は、すべて仮定の話である。

 わたしたちは何かを知っているつもりになっている。

 しかし、我々の知っているあれこれなど、何も知っていないのとちがいはない。

 わたしたちにとって、この世は無ではない。しかし無と変わりはしない。

 存在はしている。だが、存在しているだけである。

 だれも気に留めない壁の文様と変わりはない。

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