17枚目 体育祭なんてなかった、いいね? 長雨視点

「体育祭ですが何か?」

「知らんさ」

 体育祭がやってきたぞ!ヤァ!ヤァ!ヤァ!

「ぶち壊しですよぉ!雑魚の人間一般ピーポーどもを片っ端からあたしらの手でぶちのめしていきまっしょう!」

「いやぁ!過激な長雨ながめさんもいいねぇ!素晴らしい話だ!私も協力しよう!」

「悪くないですね。協力しますよ?」

 と、ここでハウリングが「うるせぇ!」起こった。

「ヤァヤァヤァ!久しぶりだね!校長だ!今から君たちには体育会に全力で臨んでもらう!圧倒的な戦力差があると思うが頑張ってくれ給え!」

「まあこれは私達のことでしょうね」

「だろうね」


 1つ目の競技はぁ!なんだ、50mか。と思ったが校長のコール。

「最初の競技は!ちょっと距離を伸ばそう!82メートル走だ!」

「いや微妙か」

 とここで、紗雪さゆきがなにかに気づいた。

「ちょっと、みなさん。あれって秋谷さんじゃないですか?」

 確かにいる。よく見たら隣にもうひとり。

「ん?ああ、そうだな。ちょっと呼んでみるか」

 なんて言って、手をなんかこう、カチャカチャした。いやこれ臨兵闘者皆陣列在前なんかよくわからん指の動きじゃねーかよ。

「風音くん?」

「いいんですよ長雨ながめくん。これで通じるんだからさ」

「はぁ?」

「よんだ?」秋谷さんが来た。いやなんで通じるんだよ。

「あたしは呼んでない」

「知ってるがお前の態度が気に入らない。死刑」

「what!?」酷い。

「暇だから呼んでみただけ」

 適当。無計画。まるで風音の代名詞だぁ……。

「暇つぶしで呼ばないでくれるかな?殴るよ?ナグルファルとか使うよ?」

「爪、あるわけ?」

「あるさ。ここに」

「ないじゃん」

「あるじゃん。『無』が」

「ん?あぁ、確かにあるな」

「そろそろ私の出番なので行ってきますね」

 ここで紗雪さんの出番だぁ!勝ったな。

「3秒で終わらせてきな」

「できないことはなさそうですね」

 紗雪、登場!拍手喝采!

「さあ、世界の真理をご覧に入れましょう。ただの人間じゃあ私達能力ギフト持ちには勝てないということを」

 3,2,1,GO!

「全く、つまらないことをさせてくれますね」

 はい。1秒76。余裕の勝利です。というかこれに勝てるやつがいたら見てみたいわ。

「あほくさ、ですね」

「しってた」

「君たちさ、『手加減』って言葉知ってる?」

「知っているとも」

「にーさん?」

 さっきの隣にいた人が現れた!と同時にあたしの出番だな!

「じゃ、行ってくるわ」

「『手加減』って言葉をね?」

「なるほど」


 少女暴走中…


「あたしのかち!なんで負けたか明日までに考えといてください」

「そこの河池かわち姉、さっき言ってたこと聞いてた?」

「あたりきよ。あたしは『手加減すると誰のためにもならない』と思ってこうしてるんだ」

「……あぁ、そう。ならいいけど」

「で、そこにいる美少女はどこのどなたですか?」

 気になったことを聞いてみた。

「うちのいもーと」

「はぁ?ハッ!冗談も大概にするんだぜ秋谷さんよぉ!」

 煽る風音さん。

「どうも、うちの時雨しぐれがお世話になってます。妹の秋谷あきやさくらです。これからどうもよろしく」

「はいヨロシク。そういえば、秋谷さん?」

 問題提起風音さん。

「まあ言いたいことはわかる。自分の発言を謝罪しようっていうんだろ?そんなことしなくていいからうちグリモワールに来てなんか飲んでって。それで金落としてくれ」

「いやそうじゃなくてなんでここに来てるんですか、って話」

「うちの可愛い常連さんと娘を見に」

「は?結婚したのか?あんたみたいなやつが」

 風音さん口が悪いよ。ていうか娘がいたのか。

「いやしてない。恋人もいない。強いて言うなら恋人は桜だ」

「やだにーさん、かっこいい。なら私の恋人はにーさんになるね」

 真顔で返す桜さん。いつものことなのね。

 で!

「なんで娘?」

「養子。まあそこについては追々話すとして陽菜さん?」

「あれ?出番だっけ?じゃ、行ってくる。話は少しの間ストップでお願い」

「だが断る」


 以下略……


「 完 全 勝 利 ! 」

「そりゃそうだ」

「馬鹿馬鹿しい」

「君たちさぁ、、、」

 呆れる秋谷さん。まあそりゃそうだ、と言わんばかりの結果になった。

「別に私達がいなくても勝ってた。よって無罪」

「なんだかなぁ……」

 呆れる秋谷さんはほっといて、まあ勝ちだ。


 ……いいでしょ、これで。

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