第12話 プール


「忘れ物はないね」

「おう」

「じゃあ出発だー」


 今日は葵とプールに行く日だ。

 電車で20分

 隣の街の市民プールに来た。

 ここの市民プールはかなり大きい。

 流れるプールや、波のプール、ウォータースライダー等など。

 プールとなればみんなここに来るだろう。

 クラスの奴らと会う可能性もある訳だ。


「とりあえず着替えるか」

「そうだね〜」

「着替え終わったらここに集合な」


 俺もこの前葵と水着を買いに行った日俺も新しく水着を買っていた。

 まぁ前のやつも入らないことはないのだが。せっかくならと新調した。


 着替え終わり葵を待っているのだが。

 なんかソワソワするな〜。

 この前見た時の事を思い出していた。

 葵に似合っていてかわいかったなぁ。

 その姿を今から見ると思うと緊張してきた。


「翔馬、おまたせ」


 そんなことを考えていると葵の声がした。

 前を見るとそこには葵が。


「お、おう」


 が、その姿は水着ショップの時とは違っていた。

 上にプール用のパーカーを着ていた。


 まぁ確かにあの格好は恥ずかしいわな。

 ちょっと残念なようなけど、あんな姿他の奴らに見られないという独占欲との間に挟まれていた。


「さ、流石に恥ずかしかったからパーカーも買ったの」

「いや、いいと思うぞ」

「それならよかった」

「浮き輪借りといたんだけど」

「翔馬気が利く〜」


 水着でボディタッチはやめろ。

 恥ずかしい。


「よし、遊ぶぞ〜。まずは流れるプールからね」

「はいよ」

「と、その前に。翔馬、日焼け止め塗って?」

「いや、自分でやれよ」

「背中届かないんだもん」

「まぁそうか」


 ということで1回荷物を置いているところに戻ってきた。


「じゃあよろしく」

「はいよー」

「ピチピチJKの肌に触れて嬉しいでしょー」

「そうだなー」

「うわぁ〜すっごい棒読み」


 そりゃ心の無にしないとこんなことできねーよ。


「ほら、終わったぞ」

「ありがとう。翔馬も塗る?」

「いや、いいよ」

「そんなに私に素肌触られるの嫌なの?」

「そうじゃねーよ。ちょっとくらい焼きたいだけだよ」

「えー、翔馬って焼きたがらないタイプでしょ」

 そうだよ。本来なら焼きたくないよ。痛いし。

 葵に塗られるのが恥ずかしいだけだよ。


「さぁ〜流れるプールに行くぞー」

「あ、逃げたー」


 現在流れるプール

「いや〜、らくらく」

「そりゃ俺が押してるもんな」


 今は流れるプールにて葵は浮き輪の上に俺はその浮き輪を押していた。

 まぁこうなるとは思ってたけどさ。

 押してると言っても流れるプールなのでどっかに行かないようにしていると言った方がいいのかもしれないけど。


「あと何周するんだよ」

「私が飽きるまでかな〜」

「そりゃ長そうだな」

「お、あれは波のプールだな。よし行くぞー」

「あ、早かった」

「翔馬岸までよろしく」

「はいよー」


 そのまま俺は流れるプールを出たのだが。


「ちょ、翔馬。出れない」

 葵は浮き輪にすっぽりはまっていた。


「やっぱり祭りでの爆食いで太ったな」

「そんなことは今どうでもいいのー。早く助けて」

「ほら」


 葵は俺の差し出した手を取った。


「引き上げるぞ」

「うん」

「せーの」


 その瞬間。

 足を踏ん張った場所が濡れていた。

 俺は足をすべらてた。


「うわぁ、やべ」

「え!」


 そのまま俺は流れるプールへダイブ

 正確には葵の胸へダイブ


『ムニュ』


「ちょっとー翔馬くーん」

「す、すいません」


 葵の衝撃吸収剤によって痛みはない。

 それどころかちょっと得した気分。

 まぁ長くこうしていると本当に怒りそうなので早くのこう


「本当に申し訳ない」

「...まぁ翔馬ならいいよ。いつでもおいで♡」

「.....はい?」

「さぁ〜波に乗りに行くよー」


 それはいつでも葵に抱きついていいってことなのか?

 聞き返す前に葵は行ってしまったので聞けなかった。



「よし、ちゃんと掴んでてよ」

「はいよ」


 気を取り直して波のプールに来た。

 葵はまた浮き輪に乗っている。

 波のプールなのでしっかり掴んでおかないといけないだろう。


「人多いねー」

「ほんとだな」


 波のプールはかなり人がいた。


「奥まで行くよー」

「はいよー」


 波が来る方へとどんどん進んでいく。


「うっひょーー。たーのしー」

「うおっ!やべーな」


 海よりも波が強いのでかなり流される。

 泳げない人なら溺れそうだな。


「波すごいな」

「.......。」


 あれ?返事がない?

 そこで気づいた。


 掴んでいた浮き輪がない。

 葵は浮き輪ごと流されていた

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