転機

「あんた何してんの!」帰ってきてそうそう妻の子供に対しての怒号が飛ぶ。これが愛情なのかただのストレス発散なのか、俺には分からない。1つ分かることは、俺の会社でのストレスが感染したんやろな。明日は久しぶりの休みやーー!そう思ってると、LINEに1件の新着メールが来た。「明日緊急の会議な」


「〇ね!」声には出せなかったがマジで腹たった。まじで労基に訴えよっかな。でも労基もコロナでの失業とかで大変なんやろな。そう思うとなかなかできない。週6出勤は当たり前、残業手当も契約の半分しかでない。鬼畜の所業だ。ストライキしたいな。


~翌日~


「では、これから緊急会議を始めます」


いや、なんで俺が司会進行なんだよ。森本今日に限って熱だしやがって!それ以上言ってもなんともならないよな。


会議の内容は年2の株主配当の件。もし配当を満額で払うと倒産確定らしい。いや、この状態で続いてるのが凄いわ。でも、今まで続いてるのはある理由が。それは親会社、田村石油の多額の無償出資。これが今年いっぱいで打ち切りらしい。それを経理の同僚から知った俺は転職サイトを転々としている。


結果、当面は備品などの売却、ある程度の雇用打ち切りで保つと決まった。雇用打ち切りの対象は非正規雇用。正社員の俺からしたらなんとか助かった。今は終身雇用の崩壊で正社員の安定性は揺らいでいるが、この会社ではまだ安定性がある事に安堵している。


夜、森本から「今日の司会進行乙ーー!」舐め腐ってんなおいw


「熱大丈夫か?」


「仮病だよww」


「まじでゴミやなw」


「お前が真面目すぎるだけなw」


「お前も俺も評価はクソみたいに低いんだから仮病使ったとしても下がる幅もないさwまあ、もう転職するからいいけどwお前も受けてみなよw」「受けたいけど家族がいるから受けれねーんだよw」


「そんな家族離婚しちまえ」


めちゃくちゃ今刺さった。こんなたわいもない話だったのに。そうだな、もう潮時か。


「なあ、もう離婚しようや。」無意識に面前で言ってしまった。


「じゃあ親権あげるわ」


あ....

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る