第103話 元おじさん・・・ダンジョンを出る!
ラヴィの警告に身構えるおじさん! 既に出現場所は把握しているので油断しない様に気持ちを落ち着ける。
そして身構える事、1分位で44階層奥の壁に2m程の丸い穴が開く!
「告、マスター! ダンジョンマスターです!」
ラヴィの報告に警戒しながら丸穴の方を注視すると、浮遊した状態で姿を現したダンジョンマスターは、クリオネの様な姿だった!
姿こそクリオネだがピコピコと動かす羽の様な腕?ヒレ?と玉虫色のボディをゆらゆらとさせて此方に近づき念話で話し掛けて来た!
『初めまして 挑戦者さん ダンジョンマスター・アバルナです!』
挨拶をされたのでおじさんも挨拶をした。
「どうも初めましてダンジョンマスター・アバルナさん、クロウ・クローバーです!」
『では、クロウ・クローバーさん、ダンジョン攻略達成を果たした貴方に危害を加えるつもりは在りませんので、私の話を聞いて貰えますか?』
ダンジョンマスターと聞いたので警戒はしたが穏やかな口調で話して来た。
「クロウで良いです、勿論お話は伺います。」
『クロウさんありがとうございます、そしてウチの者が御迷惑をお掛け致しまして申し訳御座いません!』
ペコリと頭部らしき丸い部分を謝罪する様に下げた・・・でもあの部分って触手の出る口の様な部位じゃなかったっけ? 以前テレビで見たのを思い出した。
「もしかして、ハイリッチの件ですか?」
そう訊ねると頭?を上げたアバルナが答えた。
『はい、まだ実装する予定で無かった階層だったのですが、勝手に起動させてしまい、
・・・おじさんは少し疑問に思い訊ねた。
「でも、分かっていたのならもっと早くに此処に来れたのではないですか?」
そう訊ねると、アバルナは体をくねらせて理由を話した。
『ちょっと前に入手した魂魄を加工したら質の良いダンジョンモンスターが出来たので、10階層のレア個体として配置したら、充実感と疲労から軽い仮眠をとっていたのですけれど、目が覚めたのが丁度クロウさんがあの子を周回瞬殺している最中だったので、如何してこうなったのかをダンジョンの記録を遡って確認していたらこの時間帯に成りました。
いや~、たった10年寝ていたらダンジョンが攻略されていてビックリしました!』
・・・ん? 10年?
「解、精霊種の時間感覚では1年は1時間位の認識です」
軽い仮眠で10時間位の感覚か? まぁ10時間は仮眠では無いが人族とは違うから何とも言えないけれど。
『それでですね、この位であの子の事は許しては貰えないでしょうか?
私の方からもキツク言っておきますので、もし要望が在りましたらダンジョンマスター権限で出来る事を致しますので』
ん~~、既に仕返しは済んでいるし、ラヴィ如何する?
「告、マスターが特に無いのであれば、後の交渉は此方でおこなって宜しいでしょうか?」
特に要望は無かったのでラヴィに任せる事にした。
その後は、ラヴィとアバルナとで話し合いまとめた様だ。
44階層に設置した魔法陣を片付けたのちに、チャチャ達を迎えに43階層へとアバルナを連れて戻った。
43階層ではまだ戦闘をしていると思っていたら、
取り敢えずチャチャ達を回収してアバルナからクリア報酬を貰い、ダンジョン攻略達成者用転移魔法陣に案内されて、いよいよ地上に戻る事となった!
ダンジョン攻略者だとバレない為の工作は既に済ませて居るらしく、後は1階層に戻ってから最後の仕上げらしい。
「では、これで失礼します!」「ニャ!」「ミャ!」「キャン!」
お別れの挨拶を済ませ転移魔法陣へと向かう。
「さらばだ友よ!」『また遊びに来て下さいね』
アバルナとカタロスに手を振り魔法陣へと入る、全員が入ると魔法陣は発光しだし光に包まれた!
そして、光が治まると魔法陣には誰も居なかった。
『やれやれ、今回は本当に焦ったよ! あんな化け物が此処に遊びに来るなんて、出来れば私が起きている時に来てくれていたらもっと楽しめたのに残念です!』
光が治まるとそこは先程の場所とは違う石造りの部屋だった。
「告、このまま進むとダンジョン攻略達成用出口に出てしまいますので、ここから転移魔法で1階層の人気の無い場所に移動します」
成程、それならバレる事は無いか! 脳内マップに1階層を表示して丁度良い場所に設定し呪文を唱える。
『転移!』
軽い浮遊感と共にマップで設定した場所に無事に転移出来た様だ。
その後、皆の装備を最初の物に戻して出入口へと向かう。
ダンジョンを出る際も軽いあいさつ程度で簡単に出る事が出来た。
外の様子はもう直ぐ夕方になる位の時間帯で取り敢えずは冒険者ギルドに寄って偽装用(1~5階層)のドロップアイテムを少量売っておこうかな。
おじさんは久しぶりの外の空気を吸い進む足取りも軽く、赤く染まり始めた街中を冒険者ギルドへと向かったのだ。
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