第82話 元おじさん・・・お肉を狩る。



 此処はアバルナダンジョン31階層の草原エリア、おじさん達は只今ダンジョンモンスター狩りの真っ最中です。


 この階層のダンジョンモンスターはズバリ牛でした! ぎゅうです! 牛肉です! 異世界牛丼が出来ます!


 鑑定ではビッグホーンブルと表示されていて、前方に伸びた大きな角を武器に突進して来る、1頭程度なら躱すのは容易だが群れでいる時が厄介で、このビッグホーンブル陣形を組んで突進して来る!


 先頭の群れのリーダーを中心にVの字で突進して来て少し焦ったが、大地のエンピで地形操作をして厚めの土壁を隆起させて防壁にすると、面白い様に長い角が深々と土壁に突き刺さり暫くその場から動けなくなる、その隙におじさん達は無防備な状態のビッグホーンブルに止めを刺して行き、お肉を大量に手に入れた。


 お肉も入手してついでに周囲に採取出来る物が在ったら収納しておいてとラヴィに頼んでおいた。


 ただ、楽に狩りが出来たか?と言えばそうでも無く、広大な草原とも成れば遠くの空からの襲撃もあり初撃は肝を冷やした。


 何せ、脳内マップではエリアの広さも在って2Dで表示していたので遠くからもの凄い速度で接近して来る対象は表示で確認出来たが、おじさん草原の方ばかり見ていてラヴィに指摘されるまで空からの襲撃に頭が回っていなかった。


 言い訳に為るけれど、ずっと迷宮や洞窟で戦闘していると上空からの攻撃への警戒がすっぽり抜けてしまっていた。


 まぁ実戦不足もあり、まだまだ未熟だという事だな。


 上空からの襲撃者はスパイラルホークと呼ばれる風魔法を使用する鷹で風を螺旋状に纏って突撃して来る、回避は出来たけれど思わず玉がヒュンと縮こまってしまった。


 ただ一度経験してしまえば対処も出来る、対空自動迎撃術式を組み込んだサンダースピアーを撃ち出す『雷球ビット』を2つ作り出して近くに浮遊させて置く。


「クロクロ! これ、オレが操作しても良いか!」


 エタローがそう告げて来ると『雷球ビット』の1つが不規則な動きをして飛ぶ周る。


「ヒャッハー! 視覚共有も出来るんだな! 空を自由に飛べるぜ~♪」

 楽しそうにはしゃぐエタロー。


「え! 何それ楽しそう、わたしも操作したい!」

 案の定、シオりんも参戦して来た。


 もう1つの『雷球ビット』も独りでに高速で動き出して上空をまるで未確認な飛行物体の様に不規則な動きで飛び回っている。


「きゃ~! これ楽しい~♪」


 楽しむのは良いけれど、本来の役目は果たしてね? 大丈夫?


 心配はしたが、スパイラルホークが接近すると競い合う様に攻撃していた。

 ・・・なんか楽しそう いいな~。


「よっしゃ! いただき~♪」 「あ! それわたしの~!」


 ・・・(そ~っともう1つ『雷球ビット』を作ろうと手を掲げる)。


「ニャン!」 ! あっ、お肉が来たのね! はいはい、今準備するからね。


 そんな風に陸と空の戦闘を続けながら進んで行くと、マップに32階層への階段が表示されたがその周囲を敵対反応がぐるりと囲んでいた。


 なんてこった! 「「パンナコッタ!」」 ・・・「「「食べたいな」」」


 など暢気のんきにしていられない様子です。


 32階層への階段を中心に集落が出来ています。


「解、グラスランド・コボルトの集落です」


 コボルトの集落なのか、どれどれチョット覗いてみよう・・・可愛くない!


 何だあれは、犬の形をした別物だ!


「解、妖魔の類ですので可愛らしさを求めるのは無理があります。

 ミニチュアコボルトの様な例は本当に稀な事例です。

 奇跡に近い様な種族進化なので本来のコボルトには期待しないで下さい」


 はあ、じゃあ32階層へ行く為に悪いが押し通らせて貰おう!


 まずは上空から『雷球ビット』によるサンダースピアーの魔法攻撃。


 混乱した所に大地のエンピで地形操作を使い集落の周囲を土壁で囲み逃げ道を塞ぐ、そして1ヶ所だけ壁を除き逃げ道を用意する。


 後は待ち構えていたおじさん達が魔法で蹂躙して行きます。


 大方の討伐が終わり、討ち漏らしが無いかマップで索敵をして残りの残党を探しながら集落を探索した。


 どうやらこの集落は隠し部屋の様な扱いらしい、宝箱が中央広場に置いてあった。


 全て確認を済ませてみて、周囲の安全が確認出来た所でドロップアイテムと宝箱の確認をした。


 ・魔石(中)

 ・ビッグホーンブルの角:武器・錬金術の素材

 ・ビッグホーンブルの皮:防具・道具・マジックアイテムの素材

 ・ビッグホーンブルの骨:武器・防具・料理・錬金術の素材

 ・ビッグホーンブルの各種肉:高級品美味しい

 ・ビッグホーンブルの各種内臓:調理次第でとても美味しくなる

 ・ビッグホーンブルの革鎧:丈夫で突進力が強化される

 ・ビッグホーンブルの大角槍:貫通力と刺突が強化されている

 ・スパイラルホークの羽:武器・錬金術・マジックアイテムの素材

 ・スパイラルホークの風切羽:武器・錬金術・マジックアイテムの素材

 ・スパイラルホークの羽毛:道具・錬金術・マジックアイテムの素材

 ・スパイラルホークの肉:高級品美味しい

 ・スパイラルホークの嘴:錬金術の素材

 ・スパイラルホークの爪:錬金術の素材

 ・風読みの帽子:風の動きを正確に感じる事が出来る

 ・スキルオーブ:風魔法Lv1

 ・グラスランド・コボルトの毛皮:道具・マジックアイテムの素材

 ・グラスランド・コボルトの武器:魔鉄製の剣・短剣・槍・手斧

 ・グラスランド・コボルトの防具:魔鉄製の盾、革鎧、魔鉄と革の混合鎧


 宝箱はドロップしたものは、硬貨、ポーション類、マジックアイテム、転移珠・制限ありと制限無し、武具等。


 そして、集落に在った宝箱はBランクだった。

 ・金貨20枚

 ・各中級ポーション類

 ・マジックバック(中)

 ・炸裂玉(風)×5:MP1を流し込むと10秒後に破裂して周囲にエアカッターをばら撒く

 ・マジックシガー(キセル型):吸引するとMPが回復する(体に害はない)

 ・ロングボウ:速射・追尾の付与がされている


 そこそこの収穫だった、さてお肉はどうやって食べようかな。


 これからの食生活を楽しみにしつつ32階層へと下りる。

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