第55話 元おじさん・・・ピンチです。



 隠し部屋の探索も終わり、ドロップアイテム一杯でホクホクのおじさんです。


 何せ、銀のクリットゥの実は美容関係の素材として高い効果が在るらしい、そして金のクリットゥの実は滋養強壮と精力増強に子種倍増の効果が在り、殆どオークションでのみの入手となるらしい。


「解、王族貴族にとって子作りは重要な事ですので幾らでも出すでしょう。

 後は受精時に性別をコントロール出来るマジックアイテムやポーションが在ればセット価格で更に倍掛けです」


 何だかラヴィが黒い。


「解、蓄えは多いに越した事はありません、現状ではまだ準備が出来ていませんので後々計画して行きます」


 ・・・まぁ、程々にね! さてと周囲を警戒しつつ14階層へ向かいますか。


 程無くして14階層への階段に着いたが、待ち伏せとかは無いか?


「解、現在もダンジョンモンスターの反応を追っているようです」


 ふむ、何で追跡されていたのだろう?


「解、恐らくは様子見か挨拶か恫喝でしょう」


 様子見と挨拶は良いとして、なぜ恫喝?


「解、13階層はそれなりに稼げますから少しでも多く稼ぐのに同業者は少ない方が良いので恫喝して別の階層に追いやりたいのでしょう。

 流石に恐喝や強盗は処罰の対象ですので手を出さないと思いますが、マスターの場合間違い無くあなどられて、穴掘られるかもしれません(どやぁ)」


 そうなるのは嫌だからさっさと14階層に行こうか!


「・・・もう少し反応して下さい マスター」 はいはい。


 そう言いながら階段を下りて行く。


 

 一方その頃、おじさん達を探している冒険者パーティーは13階層をウロウロする事になる。



 14階層はほねほね祭りだった! スケルトンがあっちにガチャガチャ、こっちにカクカク、撲砕君2号が無双していた! 粉砕しては核と成る魔石を抜いて行く単純な作業でドロップアイテムも魔石(微小)と各部位の骨そして各装備品。

 骨を揃えたら特典でも有るのかな?


 「解、200から208個の骨を正確に組み合わせる事で理想の人体骨格が出来ます。

 更に条件を満たすと様々な秘術の素材の一つになります。

 ほぼ知られていませんので、この階層に廃棄されますけれども」


 人造人間でも作れるのだろうか?


「解、可能です。 過去に理想のひとを創ろうとした錬金術師も居ました」


 うわぁ嫌なフラグ臭がする。 失敗しただろそれ。


「否、意外な事に成功し今も存在しています」


 へぇ~、話の流れとしては意外だな、今も存在しているのか・・・過去の話なら錬金術師はどうしたんだ?


「解、既に亡くなっています、ですがその思想に真摯に共感出来る方々で結成された組織…慈善活動団体の象徴として今も大事にされています」


 オイ待て何故今言い直した?


「解、思想は兎も角、活動は素晴らしい紳士淑女の団体です」


 ・・・了解、これ以上追求しません。


「この際マスターも挑戦してみますか? 素材なら既に骨格は揃えて在りますよ?」


 し ま せ ん !


 あっ、スケルトンで思い出した、宝箱で手に入れた〈シャイニングボール〉の閃光ってアンデッドにもダメージ効果が在るらしい。

 え、なぜ推量かって? 今手元に無いからだよ。

 何処に行ったかって? うちの子達に持って行かれました。


 始めは投擲してみて威力の確認をしていた、閃光を試そうとしたらラヴィがチャチャ達には暗視が在るから不用意に使うと眼をやられる恐れが在るので対策をしてから使用して欲しいと言われた、危なかったと冷や汗を搔いた。


 気を取り直して、投擲していると戻って来たボールをソラがキャッチした!

 そして、此方にボールを渡しキラキラとした目で「早く投げて!早く投げて!」と尻尾をぶんぶん振って見つめて来る。


 おじさん思わずラヴィに脳内HDD録画を起動する様に頼んだよ!

 その後、御希望通りに投擲していたら、チャチャとノワも加わって順番にボールをキャッチしていた。


 その内チャチャが代表して貸して欲しいと上目遣いでおねだりするので・・・快く渡しました。

 今も楽しそうにボールを追い駆けて、ついでにスケルトンも倒しています。

 かわいいな~♪ うちの子達! (優先順位をこっろと変える、バカい主の図)


 14階層は実入りが少ないので冒険者もすぐに通り過ぎてしまい気が済むまで周りを気にせず戦闘ボール遊びが出来る。


 ようやく、満足したのかボールを返してくれたので、15階層へ進む事にした。


 15階層は、蜂型のキラービーが徘徊している。

 獰猛な蜂で蜂蜜は持っていないが毒をたっぷり持っている、その上集団で行動していて戦闘になると更に別の集団を呼び寄せる為もたもたしていると大群に囲まれる羽目になる、情報不足の初挑戦者がたまにやらかすらしい。

 

 15階層主のダンジョン・ハニープリンセスの居る扉まで進むにはこのキラービーを処理しながら進まないと数が多いので扉前で囲まれてしまう可能性も在るし、途中で他の冒険者パーティーを巻き込む恐れもあるので発見次第魔法で撃ち落としている。

 雷系が良く効くので バチ バチ と感電して落ちて行く。

 生きていたとしても動けないのでチャチャ達が止めを刺している。


 進行具合も順調でマップで周囲にキラービーがいないのを確認して扉近くまでに差し掛かった時。


「告、マスター! 扉前左側通路から冒険者パーティー接近! その後方50m! キラービー多数追跡! 更に後方に増援多数! 共鳴して他の集団も此方に集まって来ます!」


 おいおい、不味いだろうこれは一先ひとまず階層主の部屋に逃げ込もう複数のパーティーで入っても問題無い筈だ。


 みんなに指示を出し扉へと向かった、先に早く着いた逃げて来たパーティーのリーダーらしき男が扉を開けて仲間を入れている。


 此方も合流しようと急ぐと、男と目が合った、声を掛けようとした途端、男はにやりと笑い。


「後、任せるわ!」 そう告げて扉を閉じた。


 ・・・ああ、証人隠滅ですね分かりました。


 おじさん絶体絶命のピンチです、どうしよう。(棒読み) 


 ゴソゴソ ストレージをあさる。


 

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